タウン・ハウス(読み)タウンハウス

百科事典マイペディア 「タウン・ハウス」の意味・わかりやすい解説

タウン・ハウス

戸境に共有壁をもち,個別の玄関およびアプローチを備える集合住宅。英米の都市住宅に典型が見られる。もとは英国で地方の領主所領にもつ本邸(カントリー・ハウス)に対し,ロンドン滞在中に使用する別宅を指した。一つの棟の細長い長屋形式で,各戸間口は狭く奥が長い。住居前面道路よりも一段高く作られることが多い。この形式は17世紀後半,1666年のロンドン大火後に作られたとされ,現在までほぼそのまま使われ続けている。最近の都市型集合住宅設計において一戸建のプライバシーと共有の駐車場や緑地という住環境の良さを兼ねたタウン・ハウスの形式がとり入れられる傾向にある。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

世界大百科事典(旧版)内のタウン・ハウスの言及

【カントリー・ハウス】より

…イギリスで,貴族や富裕な郷紳階級の,いなかの所領にある本邸を呼ぶ(これに対し,社交シーズンや議会の会期中にロンドンで滞在するのに使うのが,タウン・ハウスtown houseである)。本来は中世期の荘園所領の地主の屋敷としてのマナー・ハウスであったものが,16世紀チューダー朝期の富の蓄積と,建築技術のいちじるしい発達によって,他国の宮殿に匹敵するような広壮なカントリー・ハウスの建設がさかんになった。…

【住居】より

…これまでの住宅は,農家であれ職人や商人の住い(町屋)であれ,そのほとんどが家内作業や商業のスペースを住宅内に含むものであった。また貴族や領主の都市内の邸宅(タウン・ハウス)や所領の館(カントリー・ハウス)は,家族のための住いであるより社交と所領経営のためのスペースを中心としたものであった。近代産業社会の中で生み出された労働者や高級専門職に従事する人々は,職場と住居を別々にする,いわゆる〈職住分離〉のライフ・スタイルを受け入れる。…

【集合住宅】より

…これに呼応して住宅の規模拡大がはかられ,集合住宅の計画も変化していく。新たな住宅需要は,日本人が従来慣れ親しんできた土地に接する住宅を求めるようになるが,一方で地価の値上りによる高密度化の要請が進み,ここに俗にタウンハウスと呼ばれる連続住宅の一形式を生み出した。これは,専用の庭を極力小さくして共用部分にまわし,増築などによる環境の改変を防ぎ,高密度条件のもとで良好な住環境の維持をはかったものである。…

※「タウン・ハウス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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