日本大百科全書(ニッポニカ) 「タカクラ・テル」の意味・わかりやすい解説
タカクラ・テル
たかくらてる
(1891―1986)
文学者、大衆運動家。本名高倉輝豊(てるとよ)。高知県生まれ。1916年(大正5)京都帝国大学英文科卒業後、同大学嘱託となり、同時に文学作品を発表するが、22年以降、中央文壇から離れた作家として長野県に在住した。彼はそこで上田自由大学運動を指導し、28年(昭和3)には上小(じょうしょう)農民組合結成に参加、やがてマルクス主義者となる。33年長野県教員赤化事件で検挙され、翌年転向後保釈されるが、その後も39年、42年、44年に検挙された。その間、国語国字改革問題で発言し、農業協同組合、水利組合の研究をした。敗戦後、日本共産党から衆議院議員に当選したが、50年(昭和25)マッカーサー指令によって追放される。代表作に『大原幽学』(1939)、『ハコネ用水』(1951)がある。
[赤澤史朗]
『『タカクラ・テル名作選』全六巻(1953・理論社)』