タチーシチェフ(英語表記)Vasilii Nikitich Tatishchev

改訂新版 世界大百科事典 「タチーシチェフ」の意味・わかりやすい解説

タチーシチェフ
Vasilii Nikitich Tatishchev
生没年:1686-1750

ロシアの歴史家,政治家。ピョートル1世の育てたロシアの新しい行政官,知識人の一典型。モスクワの工・砲兵学校に学び,ドイツに2度留学し,北方戦争中種々の軍事・外交任務についた。戦後スウェーデンで鉱工業を研修し,ウラル鉱山の管理・開発に当たり,晩年にはアストラハン知事も務めた。自然法論者で,ドイツ哲学を紹介し,《ルスカヤ・プラウダ》と《1550年法典》に注解をつけて発表した。また,内外の多くの史料をもとに全5巻の《太古からのロシア史》(1768-84,1848)を著し,ロシア史の合理主義的解釈と専制中心の時代区分の基をおいた。現実の政治においても1730年の名門貴族の寡頭政治の試みに強く反対した。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「タチーシチェフ」の意味・わかりやすい解説

タチーシチェフ
Tatishchev, Vasilii Nikitich

[生]1686.4.29. プスコフ
[没]1750.7.26. ボルジノ
ロシアの歴史家,政治家。ピョートル1世 (大帝)のすすめでロシア史を研究し,『ルースカヤ・プラウダ』などの古い法典を発見。 1739年には大著『太古からのロシア史』 Istoriya Rossiiskaya s samykh drevneishikh vremën (5巻,1768~84,1848) を完成。それまでのドイツ史家の強調する古代ロシア史におけるノルマン的要素に対抗してロシア史要素を強調。また専制の役割を評価した。ロシア近代史学の基礎をつくった。

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