日本大百科全書(ニッポニカ) 「タッシリ」の意味・わかりやすい解説
タッシリ
たっしり
Tassili
アフリカのアルジェリアとリビアの国境地帯、サハラ砂漠中央部にある山岳地帯。膨大な岩壁画が発見されたことで知られる。1909年にフランス軍サハラ・ラクダ部隊のコルティエ大尉によって発見された。気候や生活様式の変化に従って岩壁画の主題や様式も変化し、〔1〕古拙時代(中石器時代)、〔2〕狩猟民の時代、〔3〕ウシの時代、〔4〕ウマの時代(前一千年紀)、〔5〕ラクダの時代に分けられる。しかし、大部分はサハラがまだ沃野(よくや)であった〔1〕~〔3〕の時代に残されたものであり、タッシリとは「川の多い台地」を意味する。岩壁画には動物と人間との狩猟、牧畜、家庭生活を通してのふれあいを描いたものが多い。
[山下秀樹]
『森本哲郎著、富山治夫写真『タッシリ・ナジェール』(平凡社カラー新書)』