タデ科(読み)たでか

日本大百科全書(ニッポニカ) 「タデ科」の意味・わかりやすい解説

タデ科
たでか
[学] Polygonaceae

双子葉植物、離弁花類。草本まれに低木単葉を互生し、托葉(たくよう)は鞘(さや)状に合着して茎を包む。花は普通両性で放射相称、包(ほう)の腋(えき)に単生または束生し、複合して穂状、総状、円錐(えんすい)花序をつくり、小花柄には関節がある。花被片(かひへん)は4~6枚、果期にも落ちず、ときに翼状に広がる。雄しべは6~9本。子房は上位1室で三稜(さんりょう)形または扁平(へんぺい)、花柱は2~3本で柱頭が房状になるものもある。痩果(そうか)は二、三稜形で、宿存する花被片に包まれる。世界に広く分布し、約50属800種知られる。

 日本にはタデ属Polygonumタデミズヒキイタドリミゾソバなど)、ギシギシ属Rumexスイバ、ギシギシなど)、マルバギシギシ属Oxyriaなど、3属70種分布する。またこの科には食用に栽培されるソバ、薬用植物のダイオウ、染料植物として有名なアイなども含まれる。

[小林純子 2020年12月11日]

 APG分類でもタデ科とされる。以前、多数の種を含んでいたタデ属Polygonumはさまざまな系統の種が含まれていたことが判明し、イヌタデ属Persicaria、ソバカズラ属Fallopia、イブキトラノオ属Bistorta、オニタデ属AconogononミチヤナギPolygonumなど多数の属に分割された。この分類によると、世界に約45属1100種があるとされ、日本には7属62種のほか、20数種が帰化種として分布する。

[編集部 2020年12月11日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「タデ科」の意味・わかりやすい解説

タデ科
タデか
Polygonaceae

双子葉植物タデ目の科で大部分は草本であるが,まれに低木や高木になるものもある。約 40属 800種がおもに北半球の温帯に分布する。この科の植物には葉鞘といって節のところに托葉が円筒形の鞘をなしてつく特徴があり,葉縁の外巻性,花被が宿存することなども特徴とされる。花には花弁がなく萼片5枚があって,ときに花弁状を呈する。両性花でおしべは5~8本,めしべは1個で花後痩果をつくる。タデ,ミチヤナギ, ソバ,スイバ,ダイオウ,イタドリ,カンキチクなどの諸属があり,なかでもタデ属は種類が多い。

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世界大百科事典(旧版)内のタデ科の言及

【タデ(蓼)】より

…狭義にはヤナギタデをさし,広義にはタデ科タデ属Polygonum(英名smartweed,knotgrass,knotweed)のヤナギタデに類似した植物(イヌタデサクラタデオンタデなど)を総称する。 〈蓼食う虫も好き好き〉の語源となった葉の辛いヤナギタデP.hydropiper L.(英名water pepper)(イラスト)はタデ科の一年草で,マタデ,ホンタデとも呼ばれ,葉の辛い真正のタデを意味する。…

※「タデ科」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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