タバコボイコット運動(読み)タバコボイコットうんどう

改訂新版 世界大百科事典 「タバコボイコット運動」の意味・わかりやすい解説

タバコ・ボイコット運動 (タバコボイコットうんどう)

イギリス国籍の投機業者タルボットがカージャール朝政府から獲得した,イラン全土におけるタバコの原料買付け,加工,運搬,国内販売,輸出に関する独占的利権に反対して,1891-92年にウラマー・商人層を中心として展開された大衆的抗議運動。イランのウラマーの最高権威ミールザー・ハサン・シーラージーによるタバコ禁忌令発令を頂点に,高揚した抗議運動は同利権の完全廃棄にまでもち込んだ。これは一般にイラン民族運動の起点と位置づけられている。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のタバコボイコット運動の言及

【ナーセロッディーン・シャー】より

…王領地の売却,コサック旅団の創設(1879)によって,財政危機と弱体化した軍事力を回復しようと図ったが,徒労に終わった。治世末期の91‐92年には,立憲思想とアフガーニーのパン・イスラム主義の影響をうけたウラマー,商人,民衆によるタバコ・ボイコット運動の挑戦をうけた。96年,反体制派のミールザー・レザー・ケルマーニーによって暗殺された。…

※「タバコボイコット運動」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android