タマゴヘビ(読み)たまごへび(英語表記)African egg-eating snake

日本大百科全書(ニッポニカ) 「タマゴヘビ」の意味・わかりやすい解説

タマゴヘビ
たまごへび
African egg-eating snake
[学] Dasypeltis scabra

爬虫(はちゅう)綱有鱗(ゆうりん)目ナミヘビ科のヘビ。同科タマゴヘビ亜科に属し、鳥の卵だけを餌(えさ)とする無毒種で、別名アフリカタマゴヘビという。アフリカの大部分、アラビア半島南部に分布し、全長約75センチメートル。体背面は茶褐色で、暗褐色の角張った斑紋(はんもん)と帯模様が交互に並ぶ。頭部は小さくて短く胴も細長いが、卵を飲む場合は口が大きく開き、胴も広がる。上あごの後部と下あごに少数の歯があるのみで、上下の唇が卵を包み込むようにして飲む。食道付近の脊椎骨(せきついこつ)下突起が発達して鋭く、これで卵殻を突き破る。卵殻は割れた破片を内側に包み込むように押しつぶし、口から吐き出す。鳥類の繁殖期のみ卵を餌とし、ほかの時期はなにも食べずに生活している。インドには別種のインドタマゴヘビElachistodon westermanniを産する。

[松井孝爾]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「タマゴヘビ」の意味・わかりやすい解説

タマゴヘビ
Dasypeltis scaber; egg-eating snake

トカゲ目ナミヘビ科。体長 70cmぐらいの褐色のヘビで,黒褐色の斑紋列を背面中央と体側にそなえている。自分の頭の数倍もある卵を飲み込めるほど,口が大きく開く。食道に入った卵は,頸のうしろの脊椎骨腹面にある下突起によって傷つけられる。割れた卵の内容物は胃の中に流れ込むが,食道の括約筋が砕けた殻の流入と卵の中身逆流を防ぐ。ほとんど鳥の卵のみを食べて生活し,卵が手に入らない季節は絶食して過す。アフリカの熱帯地方に分布し,木の多いサバナなどにすむ。

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