タマゴヤドリコバチ(読み)たまごやどりこばち

日本大百科全書(ニッポニカ) 「タマゴヤドリコバチ」の意味・わかりやすい解説

タマゴヤドリコバチ
たまごやどりこばち / 卵寄生小蜂

節足動物門昆虫綱膜翅(まくし)目タマゴヤドリコバチ科Trichogrammatidaeの昆虫の総称和名は「昆虫の卵に寄生するコバチ」であることに由来する。学名はギリシア語で「毛の文字」の意味で、前ばねに微細な毛列があることによる。世界に広く分布し、すべて体長1ミリメートル以下の小形の寄生バチで、天敵として重要。脚(あし)の跗節(ふせつ)は3節からなる。日本産のおもな種類としては、ニカメイガサンカメイガイチモンジセセリウラナミシジミなどの卵に寄生するズイムシアカタマゴバチTrichogramma japonicum、マツケムシチャハマキ、アカイラガなどの卵に寄生するキイロタマゴバチT. dendrolimi、アブラゼミの卵に寄生するセミタマゴバチNeolathromera kishidai、トビイロウンカツマグロヨコバイなどウンカ類の卵に寄生するトビイロウンカタマゴバチParacentrobia andoiなどがある。

[立川哲三郎]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「タマゴヤドリコバチ」の意味・わかりやすい解説

タマゴヤドリコバチ
Trichogrammatidae

膜翅目タマゴヤドリコバチ科の昆虫の総称。体長 0.3~1mmの微小なハチで,体は黒,褐色または黄色で短太。触角は3,5または8節から成る。肢の 跗節は3節で,他のコバチ類から区別される。翅は大きく,長い縁毛に縁どられ,後翅の縁毛が最も長い。前翅の前縁脈は枝脈と結合する。産卵管は短い。鱗翅類双翅類トンボ類鞘翅類などの昆虫の卵にのみ寄生し,たとえばズイムシアカタマゴバチニカメイガイッテンオオメイガの卵に寄生する重要な天敵として有名である。世界に 100種以上が知られている。

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