ダイズ(大豆)(読み)ダイズ(英語表記)Glycine max; soybean; soya bean

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ダイズ(大豆)」の意味・わかりやすい解説

ダイズ(大豆)
ダイズ
Glycine max; soybean; soya bean

マメ科の一年草。世界各地で栽培されている重要な農作物の一つで,日本など東アジアに広く野生するツルマメ (蔓豆)原種であると考えられている。中国では古くから栽培され,日本へは8世紀以前に伝えられた。またヨーロッパへは 18世紀,アメリカへは 19世紀に伝えられた。植物体全体に淡褐色の粗毛があり,茎は直立して高さ 50~100cmとなる。葉は長い葉柄をもつ3出複葉で,各小葉は長さ5~10cmの卵形であるが,品種によって大きな違いがあり,ときには5小葉の場合もある。夏に,葉腋から花柄を出し総状花序をなして,白,赤紫または紫色の蝶形花をつける。果実は長い莢で,中に1~4個の種子を生じる。種皮の色は品種により黒色 (クロマメ) ,緑色 (アオバタマメ,リョクズ) ,黄白色などさまざまで,栽培品種の数は 1000以上にも達する。種子は「畑の肉」といわれ,蛋白質や脂肪を多量に含み,豆腐,味噌,醤油,枝豆,きな粉,煮豆納豆,豆乳,菓子,大豆油などとして食用とされる。肥料飼料に使われてきた脱脂大豆は加工食品原料として用途が広がっている。大豆油は工業原料としても重要で,油脂工業の原料として使用される。日本の主産地北海道であるが,工業原料の大豆はすべて輸入に依存し,そのほとんどが最大生産国アメリカの大豆である。日本では古来,大豆は占いや呪術的行事に用いられ,節分の豆まきはいまも行われる。

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百科事典マイペディア 「ダイズ(大豆)」の意味・わかりやすい解説

ダイズ(大豆)【ダイズ】

中国北部とその周辺を原産地とするマメ科の一年生作物。夏ダイズ,秋ダイズおよびその中間型があり,普通は短日植物であるが長日品種もある。環境適応性が広く熱帯〜温帯北部まで栽培される。草たけは50〜90cm。葉は3小葉からなる複葉。白,赤紫,紫の小蝶(ちょう)形花が各節につく。さやには楕円形の1〜3粒の種子を含む。種皮の色には黄,緑,黒があり,黒色のものは黒豆と呼ばれて煮豆に用いられる。種子はタンパク質,脂肪に富み,納豆,煮豆,もやし,きなこ,みそ,しょうゆ,豆腐,菓子原料にされるほか大豆油を採る。外国産のダイズ品種は油脂含量が高く,もっぱら搾油用に用いられ,国産のダイズ品種はタンパク含量が高い。採油後のしぼりかす(大豆粕)は飼料,肥料にされる。未熟種子をゆでて枝豆として食する。

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