ダバン(英語表記)Jean Dabin

改訂新版 世界大百科事典 「ダバン」の意味・わかりやすい解説

ダバン
Jean Dabin
生没年:1889-1971

ベルギーの法哲学者。現代のネオ・トミズムを代表する。リエージュに生まれ,同国のルーバン大学で長く教えた。トマスの哲学を実定法の存在構造の分析にはじめて適用したF.ジェニー先蹤(せんしよう)を踏んで,実定法固有の一体的作用juridismeを強調する。そしてトマス的に解された倫理法則としての自然法の存在と内容とは肯定しながらも,国家の法形成,権力者の法的思慮が,国家の公共の福祉(公共善)を志向した独立固有の領域成し,自然法命題の単なる受動的うけいれでないことをいう。主著は《実定法秩序の哲学》(1929),《実定法形成の技術》(1935),《権利論》(1952),《国家とは何か》(1957),《法の一般理論》(1969)。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ダバン」の意味・わかりやすい解説

ダバン
Dabin, Jean

[生]1889.7.9. リージュ
[没]1971.8.15. ルーバン
ベルギーの法哲学者。リージュ大学で学んで教職につき,1922年からルーバン大学で教える。新トマス主義 (→新トマス派 ) に立脚するが,自然法倫理的ないし政治的な意味においてのみとらえ,法としての自然法を否定する点に特色がある。主著『法の一般理論』 Théorie générale du droit (1943) 。

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