ダリエン計画(読み)ダリエンけいかく(英語表記)Darien Scheme

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ダリエン計画」の意味・わかりやすい解説

ダリエン計画
ダリエンけいかく
Darien Scheme

17世紀末のスコットランドの中央アメリカ植民計画。 W.パターソンがスコットランドの貿易促進策として推進した。骨子は,スコットランドにアジア,アメリカ,アフリカとの貿易権をもつ会社を設立し,イギリス東インド会社が独占権をもつ喜望峰回りは避けて,代りに中央アメリカに植民地を築いて中継基地とする,というもの。 1695年この意図にそうアフリカ会社の設立がスコットランド議会で認められたが,東インド会社は猛反対し,そのため出資を予定されていたイギリス人の資本がすべて引上げられた。次いで,98年から翌年にかけて3回遠征隊がパナマダリエン地方に派遣され,植民地建設に着手した。しかし東インド会社をはじめとする反対勢力に屈した国王ウィリアム3世は,この計画への認可を取消し,援助を与えなかったため,1700年植民者たちはスペイン軍に粉砕され,計画は多くの犠牲を出して崩壊した。

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世界大百科事典(旧版)内のダリエン計画の言及

【スコットランド】より

…また1560年以来長老制と主教制の間を揺れ動いていたスコットランド教会も,議会の決定によって長老制の基礎の上に再建された。 ウィリアムはスコットランドと長老制に好意を示さず,国内ではジェームズの支持者(ジャコバイト)や主教派が活動し,90年代には凶作が続き,またスコットランド会社による中米植民地の建設(ダリエン計画)は失敗して,革命後には混乱と不穏の時期が続いた。1700年にアンの王子が死亡してスチュアート朝の王統の消滅が明らかになると,政治的・外交的混乱はさらに高まった。…

※「ダリエン計画」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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