ダレイオス2世(読み)ダレイオスにせい(英語表記)Dareios II Ochus; Darius II

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ダレイオス2世」の意味・わかりやすい解説

ダレイオス2世
ダレイオスにせい
Dareios II Ochus; Darius II

[生]?
[没]前404. バビロン
アケメネス朝ペルシアの王 (在位前 423~前 404) 。ダリウス2世とも呼ばれる。ペルシア名ダラヤウァウシュ。アルタクセルクセス1世の子。ヒルカニアサトラップ (州総督) であったが,王位後継者クセルクセス2世を殺害した異母兄ソグディアヌスを殺して即位異母妹パリュサティスと結婚したが,彼女の残酷な性格と宦官たちの横暴のため,彼の宮廷策謀と腐敗に満ちるとともに,シリア,リュディア,メディアに内乱が相次ぎ,ついにエジプトをも失った (前 410) 。しかしサトラップ,チサフェルネスファルナバズスや息子キュロス (小)らによるペロポネソス戦争への外交的介入が功を奏したため,ダレイオスは,シラクサでのアテネの敗北 (前 413) 後,スパルタと結んで小アジアのギリシア諸都市を奪回し,治世はかろうじて保たれた。

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改訂新版 世界大百科事典 「ダレイオス2世」の意味・わかりやすい解説

ダレイオス[2世]
Dareios Ⅱ

ペルシア帝国の王。在位,前423-前404年。アルタクセルクセス1世の子。父王の後を継いだクセルクセス2世が45日にして弟ソグディアノスSogdianosに殺され,その6ヵ月半後にダレイオスがソグディアノスから王位を奪った。彼の時代,宮廷では異母妹の王妃パリュサティスParysatisが権勢をふるい,地方ではシリア,リュディア,メディアに相ついで反乱が起こり,これらはいずれも鎮圧されたが,中央集権体制の弱体化を示した。帝国西部の問題に干渉してきたアテナイに対しては,ペロポネソス戦争に乗じて敵のスパルタを援助し,外交政策を有利に展開することができた。しかし,治世末期にエジプトが分離し,これを回復しえないままに没した。
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世界大百科事典(旧版)内のダレイオス2世の言及

【ペルシア帝国】より

…彼の後を継いだカンビュセス2世は,前525年にエジプトを占領して古代オリエント世界の統一を実現した。前522年にマゴス祭司ガウマータGaumātaによる王位簒奪事件が起こり,帰国の途中でカンビュセスが亡くなると,アケメネス一族のダレイオス1世がガウマータを倒して王位に就いた。初期のペルシア帝国は,キュロス2世やカンビュセス2世が征服したそれぞれの国家の王に即位することによって成り立つ同君連合国家の形態をとっていたから,キュロス王統の断絶は臣属民族にとってペルシア支配の終了を意味した。…

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