ダービン=ワトソン比(読み)ダービンワトソンひ(英語表記)Durbin-Watson's ratio

改訂新版 世界大百科事典 「ダービン=ワトソン比」の意味・わかりやすい解説

ダービン=ワトソン比 (ダービンワトソンひ)
Durbin-Watson's ratio

弾道学の分野で,砲弾飛距離のばらつきに関するデータをより公正に処理するためフォン・ノイマンが1941年に提案した考え方(ノイマン比von Neumann's ratio)にヒントを得て,J.ダービンとG.S.ワトソンが他の分野での分析に適用できるように考案した(1950)もの。これによって線形回帰方程式誤差項の系列相関強弱が測定でき,同時に説明変数の欠落や関数形の不適合も判定できる。回帰方程式の計測に際しては,異時点の観察値の誤差項は無相関であると仮定されている。もし誤差項に系列相関があれば,ある時点の観測値の誤差の影響が将来時点にも及ぶ。たとえば経済成長率を予測する際に,ある年で過大推計を行えば,その年以降も過大推計が持ち越されるので,正しい予測が不可能になるのである。最小二乗法であてはめられた回帰式からの残差の平方和を分母に,残差の階差の平方和を分子にして計算し,ダービン=ワトソン統計表に照らし合わせて系列相関の検定をする。この値が2に近いほど系列相関なしと判定する。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ダービン=ワトソン比」の意味・わかりやすい解説

ダービン=ワトソン比
ダービン=ワトソンひ
Durbin-Watson ratio

線形回帰模型において攪乱項に自己相関があるか否かをテストするための統計量一つで,1950年 J.ダービンと G.S.ワトソンにより提案され,また検定のための臨界値の表が与えられた。ダービン=ワトソン比は通常記号 dで表わされ,dは一般に (0,4) の範囲の値をとり,攪乱項に正の自己相関があると0のほうに近く,負の自己相関があると4のほうに近い値をとる。

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