ダービー(競馬)(読み)だーびー(英語表記)Derby

翻訳|Derby

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ダービー(競馬)」の意味・わかりやすい解説

ダービー(競馬)
だーびー
Derby

競馬レース名。ダービー・ステークスthe Derby stakesの略称。1780年ロンドン郊外エプソン高原に住む第12代ダービー卿(きょう)エドワード・スミス・スタンレー12th Earl of Derby, Edward Smith Stanley(1752―1834)が創設した。この前年、ダービー卿はエリザベスハミルトンと結婚したが、そのとき新夫人の願いによって3歳牝馬(ひんば)のみによるレースを行った(これがオークスの始まり)。この催しが当時の競馬界に好評で迎えられたことから、ダービー卿は自分の名を冠した3歳牝牡(ひんぼ)馬の混合レースを思い立ち、1780年5月4日にエプソン高原で距離1マイル(約1600メートル)のレースを行った。これがダービーの始まりである。1784年、有名なタッテナム・コーナーTattenham Cornerのあるダービー・コース(2440メートル)ができた。1920年、タッテナム・コーナーの一部を削って2414メートルになり、以後今日まで毎年6月の第一水曜日に行われ、この日をダービー・デーとよんでいる。競馬場は100万人近い人で埋まり、お祭り騒ぎとなる。

 現在、ダービーの名を冠したレースは世界各国で行われている。アメリカのケンタッキー・ダービー(1875年3月17日、第1回開催)は有名であり、フランスではプリ・デュ・ジョッキークラブ・カップをフランスダービーといい、日本では東京優駿(ゆうしゅん)競走日本ダービーとよんでいる。しかし同じ3歳馬のレースでも、距離、負担重量などは開催国によって同一ではない。元祖イギリスの距離は1.5マイル1ヤード(2414メートル)、ケンタッキー・ダービーは2000メートル、日本では2400メートルである。

 日本ダービーは、日本競馬界の父といわれる安田伊左衛門(やすだいざえもん)が創設した。1932年(昭和7)4月24日、東京の目黒競馬場で第1回が行われ、ワカタカ優勝、第3回から、現在の東京競馬場(東京都府中市)に移った。開催日は第6回まで4月下旬、第7回からは5月中旬以降と不定期であったが、1957年(昭和32)以降5月の最終日曜日を原則とした。負担重量は第1回が別定重量、第2~8回が牡55キログラム、牝53キログラムであったが、第9回(1940)以降現在の牡57キログラム、牝55キログラムに定められた。牝馬の優勝は第6回のヒサトモ、第12回のクリフジ、第74回のウオッカのみ。1着賞金(本賞)は第1回が1万円、第76回(2009)は1億5000万円である。

[大島輝久・日本中央競馬会

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