翻訳|Chester
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
イギリス,イングランド中央西部,チェシャー西部にある歴史的都市で州都。人口11万9700(2006)。ディー川下流北岸で,ウェールズとの境界に近い戦略的位置を占めるため,古来より軍事中心として発展した。現在は古代から中世の遺跡と町並みとが残る観光都市であり,塗料,電気スイッチなどの軽工業もみられる。町の起源はディー川河畔の要塞にあり,紀元78年ごろからは軍団要塞都市としてローマのブリタニア統治で重要な役割を果たした。その後ノーサンブリアやデーン人によって破壊されたが,ノルマン・コンクエスト(征服)後は防衛拠点として再び重視され,とくに13世紀後半のエドワード1世によるウェールズ遠征では後方基地となった。また河港は14世紀にアイルランドと,16世紀にスペインとの交易で繁栄したが,ディー川の埋積やリバプールの台頭で衰退した。旧市街は砂岩の台地上にあってローマ時代から中世にかけての市壁で囲まれ,完全な囲郭が残存するイングランド唯一の都市である。ローマン・タウンであるため街路は直交し,古代の円形劇場跡や中世の司教区教会,城跡,オールド・ディー橋,さらには〈ローズ〉と呼ばれるアーケード風木造家屋など史跡が多い。
執筆者:長谷川 孝治
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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