チェルスキー山脈(読み)ちぇるすきーさんみゃく(英語表記)Хребет Черского/Hrebet Cherskogo

改訂新版 世界大百科事典 「チェルスキー山脈」の意味・わかりやすい解説

チェルスキー[山脈]
Khrebet Cherskogo

ロシア連邦,東シベリア北部の山脈で,ヤナ川下流からコリマ川上流部につらなる。北西から南東にのび,長さ約1500km,最大幅400km。サハ共和国マガダン州に属する。最高点は中央部のウラハン・チスタイ山脈のポベダ峰(3147m)。多数の並行する中山性の山脈(標高2000~2500m)よりなり,間に狭長な盆地や河谷を挟む。標高300~1500mまでカラマツ,それ以上は松,カンバ,シナノキなどの矮(わい)性の疎林,さらに山地ツンドラとなり,山頂付近は圏谷や氷舌の発達した山岳氷河がおおう。山中に金,スズなどが埋蔵されているが未開発である。ロシアの探検家チェルスキーIvan Dement'evich Cherskii(1845-92)を記念して,1926年地理学者オブルチェフSergei Vladimirovich Obruchev(1891-1965)が命名した。

 同名の山脈はバイカル湖東方のチタ州にもあって,ネルチャ川源流から南西にのび,チタ市付近に至る。中山性の山脈で,長さ約800km,最高点2119m。山麓はカラマツやモミにおおわれる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「チェルスキー山脈」の意味・わかりやすい解説

チェルスキー山脈
ちぇるすきーさんみゃく
Хребет Черского/Hrebet Cherskogo

ロシア連邦、シベリアのサハ共和国にある山脈。1200キロメートルにわたり北西―南東に連なる。最高峰は3147メートルのポベーダПобеда/Pobeda山。山脈の東部をインジギルカ川が、西部をヤナ川が北流し、中腹から山麓(さんろく)一帯にはタイガ(針葉樹林帯)が広がる。亜鉛、鉛、タングステンなど地下資源が豊富。西部のベルホヤンスクと南部のオイミャコンは世界の寒極である。この山脈の西部をベルホヤンスク山脈がほぼ並行して走っている。山脈名は、ロシアのシベリア研究家チェルスキーにちなむ。なお、ザバイカル(バイカル湖東部)にも同名の山脈がある。

[須長博明]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「チェルスキー山脈」の意味・わかりやすい解説

チェルスキー山脈
チェルスキーさんみゃく
khrebet Cherskogo

ロシア東部,サハ共和国とマガダン州にまたがる山脈。ヤナ川下流部河谷からコルイマ川上流部河谷まで,北西-南東方向に約 1600kmにわたって連なる一連の山脈によって形成される。最高峰ポベーダ山 (3147m) 。主として砂岩頁岩変成岩,花崗岩,堆積層から成る。北東斜面は標高 400m,南西斜面は 100mまでカラマツのタイガがみられる。それより上部は灌木・山地ツンドラ地帯となり,カール (圏谷) などの氷河地形がみられ,氷河 (総面積 150km2以上) も発達している。

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