日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
チェンバーズ(Ephraim Chambers)
ちぇんばーず
Ephraim Chambers
(1680?―1740)
イギリスの博学な評論家。ケンダルに生まれる。若くしてロンドンに出て、地球儀と計算機器製作者の徒弟となり、技術と新しい科学の学習を続けた。そのうちに百科事典の構想を固めて、学者に執筆を依頼するとともに自分でも起草し、1728年に『百科事典、また芸術科学の世界辞典』二冊Cyclopædia, or an Universal Dictionary of arts and sciencesを出版した。当時イギリスは国力が充実し、ブルジョアジーの勃興(ぼっこう)で紳士としての教養を求めていたので、大いに歓迎され、1738、39、41、46年と増刷を重ねた。また、イタリアのベニスでは、1748~49年にかけて、チェンバーズ自身の協力によって翻訳出版された。フランスではミルズらが出版しようとしたが果たせず、中止し、やがてディドロ『百科全書』出版の動機となった。自国内ではスコットが1753年に改訂版を出版し、リースAbraham Reesは1743~1825年に四巻の拡大版を出版した。
[彌吉光長]
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