チャイルド・アビュース(読み)ちゃいるどあびゅーす(英語表記)child abuse

翻訳|child abuse

知恵蔵 「チャイルド・アビュース」の解説

チャイルド・アビュース

貧困、家庭崩壊、地域社会の崩壊などに起因する、精神的、肉体的児童虐待全般を指す語。性的ニュアンスを含むことも少なくない。1980年代以降激増したのは、離婚の増加、WASP的モラルの脆弱(ぜいじゃく)化の進行などに加えて、被害者の多数を占める女性の地位が向上し、虐待という概念が確立されたからでもある。全米児童虐待防止センターによると、被害者の平均年齢はおよそ7歳。虐待や養育放棄の通報は年300万件に及ぶ。親を更生させて被害の再発未然に防ぐことが対策の中心で、更生の兆しのない親に対しては、裁判所が親権停止を命ずることとなる。虐待の要因をかかえる家庭を訪問し、子供を「緊急保育所」に一時的に預けた上で、親を支援する手立てを講じるなど、虐待が起きる前の対処にも重点が置かれるようになってきている。

(井上健 東京大学大学院総合文化研究科教授 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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