チャン(長)江三角州(読み)チャンこうさんかくす(英語表記)Changjiang sanjiaozhou

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「チャン(長)江三角州」の意味・わかりやすい解説

チャン(長)江三角州
チャンこうさんかくす
Changjiang sanjiaozhou

中国東部,チャン (長) 江下流の三角州。チヤンスー (江蘇) 省西部のチェンチヤン (鎮江) 市付近を頂点とし北はトンヤン (通揚) 運河,南はハンチョウ (杭州) 湾までの地域である。面積約5万 km2。 2000万~3000万年前はホワン (黄) 海からの湾入であったが,チャン江とチエンタン (銭塘) 江の運搬した土砂が堆積して形成され,現在も海に向って伸び続けている。シャンハイ (上海) 市には 5000~6000年以前の海岸線を示す地層がある。中心はチャン江の南に広がるチヤンナン (江南) 平原で,古太湖と呼ばれる潟湖の埋積された地域。低平なチャン江三角州のなかでも標高2~3mと特に低く,潟湖の名残りであるタイ (太) 湖,ティエンシャン (淀山) 湖,ヤンチョン (陽澄) 湖など湖が多い。早くから水田が開かれ,灌漑排水用の水路が網目状に引かれて,中国を代表する穀倉地域となり,歴代王朝に重視されてきた。しかし,チャン江とタイ湖の氾濫や海水の逆流によってしばしば洪水に見舞われた。宋代からは大規模な治水工事が行われてきたが,人民共和国成立後は電力による灌漑,排水やアルカリ土壌改良にも力が注がれている。水稲アブラナを中心に,1年3作から2年3作の農業が行われ,ワタ,茶の栽培養蚕でも主要地帯に数えられる。スーチョウ (蘇州) 市,ウーシー (無錫) 市などには水郷風景を生かした名園が多く,また散在する孤立峰や残丘の多くは公園となっている。

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