チョシッチ(英語表記)Ćosić, Dobrica

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「チョシッチ」の意味・わかりやすい解説

チョシッチ
Ćosić, Dobrica

[生]1921.12.29. セルビア人・クロアチア人・スロベニア人王国,ベリカドレノバ
[没]2014.5.18. セルビアベオグラード
セルビアの作家,政治家。農学校で学び,第2次世界大戦中はパルチザンの名で知られた旧ユーゴスラビアの共産主義勢力とともに活動した。その後,旧ユーゴスラビア政府に加わったが 1968年に政界を追われた。1990年代に政界へ復帰,1992年6月にユーゴスラビア連邦共和国の初代大統領に選出された。しかし,セルビア民族主義(→ナショナリズム)の過激派と対立,1年足らずで解任された。作家として,"Daleko je sunce"(1951),"Deobe"(1961)などの小説で第2次世界大戦中のセルビアの抵抗運動や当時の様子を描いた。ほかに,第1次世界大戦を舞台にした長編 "Vreme smrti"(1972~79),その続編にあたる三部作 "Vreme zla"(1990)などがある。(→ユーゴスラビア史ユーゴスラビア文学

チョシッチ
Ćosić, Branimir

[生]1903.11.13.
[没]1934.1.29. ベオグラード
セルビア小説家第1次世界大戦後のベオグラードにおけるブルジョア社会(→ブルジョアジー)を分析し,厳しく批判した。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「チョシッチ」の意味・わかりやすい解説

チョシッチ
Dobrica Ćosić
生没年:1921-

ユーゴスラビアの小説家,政治家。セルビア人。農学校に学ぶ。第2次大戦中対ナチス解放戦争(パルチザン戦争)に共産党政治委員として参加,戦後は連邦議員に選出される。英雄礼賛を退けてパルチザン戦争の実態に迫った長編《太陽は遠い》(1951)は,社会主義リアリズムからの逸脱としてソ連から攻撃されたものの,国内では空前の成功をおさめた。その後も現代史に鋭いメスを入れた《分割》(1961),《死の時代》(1979)など大作を発表しつづけている。1992年新ユーゴスラビア連邦の初代大統領に議会で選出されたが,ボスニア・ヘルツェゴビナ内戦をめぐる混乱から93年6月に解任された。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

百科事典マイペディア 「チョシッチ」の意味・わかりやすい解説

チョシッチ

ユーゴスラビア,セルビアの小説家,政治家。ユーゴスラビア共産党(のちにユーゴスラビア共産主義者同盟改称)政治委員として,第2次世界大戦中の対ナチス解放戦争(パルチザン戦争)に参加,戦後,連邦議員に選出される。パルチザン戦争の体験を描いた長編小説《太陽は遠い》(1951年)はソ連から社会主義リアリズムを逸脱するものとして批判されたが,国内ではベストセラーとなった。他に《死の時代》などの長編がある。1992年新ユーゴスラビア連邦初代大統領に選出されたが,1993年,ボスニア・ヘルツェゴビナ内戦の混乱により解任。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android