チョルラナム(全羅南)道(読み)チョルラナム(英語表記)Chǒnra nam

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

チョルラナム(全羅南)〔道〕
チョルラナム
Chǒnra nam

韓国の南西端にある1級行政区。道庁所在地はクアンジュ (光州) 直轄市。行政区域は6市 21郡。東部から南部にかけてはソベク (小白) 山脈の南端にあたるナムニョン (南嶺) 山地で,北西部もノリョン (蘆嶺) 山脈である。平野は西部のヨンサン (栄山) 江流域にチョンナム (全南) 平野が広がるほか,海岸沿いに連なるが,山間にも盆地や広い谷が開けている。海岸はリアス式で,半島と湾が連なり,タド (多島) 海と呼ばれるほど大小の島が散在する。気候は温暖な海洋性で,年降水量は南岸で 1400mm,西岸で 1100mmをこえる。韓国の穀倉地帯で米,ハダカムギ,サツマイモ,豆類が主作物。チョンナム平野と島嶼部は韓国最大の綿花の産地である。南海岸はミカンと茶の栽培が盛んで,ソンジョン (松汀) 邑を中心とするダイコンも良質として有名。養蚕,畜牛が盛んである。竹細工を特産する。漁業はヨス (麗水) 港,モクポ (木浦) 港が規模が大きい。南海岸の内海ではノリが養殖される。地下資源はファスン (和順) 郡に無煙炭の炭田がある。ヨンサン江,ソムジン (蟾津) 江で水力発電が行われる。木綿,絹の紡織,石鹸,ゴムなどの工業があるが,1970年代からヨス市を中心にヨチョン (麗天) 工業団地が造成され,石油化学を中心とする近代的な大工場も建設された。チリ (智異) 山の西麓にある華厳寺と,クアンヤン (光陽) 郡にある松広寺は,いずれも韓国有数の名刹。面積1万 2164km2人口 252万 3000 (1990推計) 。

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