チロルの秋(読み)チロルノアキ

デジタル大辞泉 「チロルの秋」の意味・読み・例文・類語

チロルのあき【チロルの秋】

岸田国士戯曲。大正13年(1924)「演劇新潮」誌に発表同年11月、新劇協会により初演

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改訂新版 世界大百科事典 「チロルの秋」の意味・わかりやすい解説

チロルの秋 (チロルのあき)

岸田国士(くにお)の戯曲。一幕物。1924年(大正13)9月《演劇新潮》に発表。舞台は晩秋チロル山中のホテルの食堂,止宿人のステラアマノが,あすはお別れというので夕食後の一刻を語りあって過ごす,その会話から成っている。はじめてくつろいで話をする2人はけっして椅子から動かないが,その間2人のあいだに愛が芽ばえ,育っていきながら,やがて挫折せざるをえなくなる,その心理の微妙なあやが,言葉のやりとりだけによって表現された作品である。フランス心理劇の色濃い影響もとに書かれた,日本語の可能性を極限にまで生かした名作と言えよう。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「チロルの秋」の意味・わかりやすい解説

チロルの秋
チロルのあき

岸田国士の戯曲。 1924年発表。同年 11月新劇協会が初演。晩秋のチロルの風景バックに,日本人男性と日本人の母をもつ女性との夢と現実が描かれる。フランス心理劇の影響のもと,『古い玩具』とともに作者評価を決定した戯曲。

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