チーリン(吉林)特別市(読み)チーリン(英語表記)Jilin

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「チーリン(吉林)特別市」の意味・わかりやすい解説

チーリン(吉林)〔特別市〕
チーリン
Jilin

中国東北地方,チーリン省中部にある工業都市。チャンパイ (長白) 山地西麓の丘陵地帯にあり,大部分がソンホワ (松花) 江の上流である第二ソンホワ江と支流のホイファー (輝発) 河の流域。中部にフォンマン (豊満) ダムで形成されたソンホワ湖がある。チーリン市の4つの市区と2市3県から成る。市区は第二ソンホワ江の左岸にあり,トンペイ (東北) 平原中部の交通の要衝として,靺鞨契丹,女真などに重視されてきた。明代からは河港としても開け,清代初期には水軍の造船所がおかれた。 1907年チーリン省の成立とともに省都となり,人民共和国成立後,その地位はチャンチュン (長春) 市に譲ったが,化学工業の中心地となっている。鉱物資源に恵まれ,チヤオホー (蛟河) 市,シューラン (舒蘭) 県は石炭,ホワティエン (樺甸) 市はオイルシェールを産する。またシェンチー (瀋吉) 鉄道,チャントー (長図) 鉄道の交点にあるため,チャンパイ山地の鉱山町や林業地域からの輸送も容易である。再建されたフォンマンダムや,これらの資源を基礎に,1954~55年には肥料,染料,カーバイドの三大化学工場が建設され,中国最大の化学工業都市となった。また冶金製紙,機械などの工業も発達。大型の火力発電所もある。周辺の農村部ではコムギダイズトウモロコシ水稲,タバコなどを栽培。チョウセンニンジン鹿茸,テンの毛皮を産するが,採集に代って栽培,飼育がふえている。ソンホワ湖は漁業が盛んで,行楽地ともなっている。郊外のロンタン (竜潭) 山には新石器時代の集落跡や金代の城址がある。北西郊のペイシャン (北山) 公園は市街を一望できる景勝地である。人口 418万 3136,うち市区人口 132万 170 (1990) 。

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