ツバンギライ(英語表記)Tsvangirai, Morgan

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ツバンギライ」の意味・わかりやすい解説

ツバンギライ
Tsvangirai, Morgan

[生]1952.3.10. 南ローデシア,グトゥ
[没]2018.2.14. 南アフリカ共和国,ヨハネスブルク
ジンバブエの政治家,労働組合活動家。首相(在任 2009~13)。1974年にジンバブエ鉱山労働組合の活動に参加し,1988年にジンバブエ労働組合会議書記長。1999年に野党の民主変革運動 MDCを創設し,ロバート・ムガベ大統領と与党ジンバブエ・アフリカ民族同盟愛国戦線 ZANU-PFに対抗した。2008年3月に大統領・議会・地方選挙が実施され,同年 5月に大統領選挙はツバンギライがムガベに僅差で勝利したと発表された。しかし得票が過半数に達しなかったため,翌 6月に決選投票を実施することが決まった。その後,複数の MDC支持者が殺害され,ツバンギライをはじめ MDC幹部や支持者が何度も警察に身柄を拘束されるなど,MDCへの暴力や脅迫行為が激化した。ツバンギライは立候補断念を発表し,国内の政治情勢により自由公正な選挙は不可能と主張。しかし選挙は実施され,ムガベの当選が発表された。選挙の強行と選挙結果に対し,アフリカ諸国政府も含め,国際社会で非難の声が広がった。南アフリカ共和国のターボ・ムベキ大統領の主導のもと南部アフリカ開発共同体 SADC斡旋により,ツバンギライ,ムガベおよび MDC分派指導者アーサー・ムタンバラの 3者協議が行なわれ,3者は 2008年9月に包括的政治協定に署名,ムガベは大統領の座にとどまるが,ツバンギライを首相として権力の一部を委譲し,またムタンバラを副首相とすることになった。2009年2月に首相職を設けるための憲法修正案が議会で可決され,ツバンギライは首相に就任した。2013年,大統領選挙に出馬したが,ムガベに敗れた。

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