ツベルクリン(英語表記)tuberculin

翻訳|tuberculin

精選版 日本国語大辞典 「ツベルクリン」の意味・読み・例文・類語

ツベルクリン

〘名〙 (Tuberkulin) 結核菌グリセリンブイヨン培養を濃縮・濾過した透明褐色の注射液。一八九〇年ドイツの細菌学者コッホ創製結核感染の診断に用いる。現在では、コッホの開発した旧ツベルクリンに代わり、一九三四年サイベルト、ロングらによって開発された精製ツベルクリン(PPD)が用いられる。
郵便報知新聞‐明治二六年(1893)四月二日「ツベルクリンを発明して世界の肺結核患者を歓天喜地せしめたる」

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デジタル大辞泉 「ツベルクリン」の意味・読み・例文・類語

ツベルクリン(〈ドイツ〉Tuberkulin)

結核菌培養液から抽出した精製たんぱく質の注射液。結核菌感染の有無検査に用いられる。旧ツベルクリンは培養液を濾過ろか・濃縮して製したもので、今は使われない。1890年にコッホが治療薬として創製。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ツベルクリン」の意味・わかりやすい解説

ツベルクリン
tuberculin

R.コッホ (1843~1910) が 1890年に結核の診断と治療に用いるため創製したもの。旧ツベルクリンはヒト型結核菌を培養したのち,加熱殺菌してつくられたが,新ツベルクリンは 97年に,結核菌体を乾燥して砕き,水分を除いて 20%のグリセリンに浮遊させてつくられた。現在は PPD (精製ツベルクリン蛋白) が用いられている。ツベルクリン反応は,ツベルクリン液を皮内に 0.1ml注射し,48時間後に発赤を計測して結核菌感染の有無を判定するもの。通常,注射部位の発赤の直径が 1cm以上の場合に陽性,それ以下の発赤を疑陽性,発赤のないものを陰性とする。陽性の場合は硬結水疱を伴うこともある。

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世界大百科事典(旧版)内のツベルクリンの言及

【コッホ】より

…85年にベルリン大学衛生学教授,91年にはベルリンに新設された伝染病研究所長となる。この間,90年にツベルクリンをつくって,結核の治療薬にしようとした。また晩年は熱帯病の研究に従事した。…

※「ツベルクリン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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