ティマイオス(英語表記)Timaios

改訂新版 世界大百科事典 「ティマイオス」の意味・わかりやすい解説

ティマイオス
Timaios

前4~前3世紀の古代ギリシアの歴史記述家。生没年不詳。シチリア島東部のタウロメニオン(現,タオルミナ)に生まれ,アテナイで活躍した。シチリア島史ならびに西地中海史,初期ローマ史をオリュンピア祝典暦という一つの年代構成の枠でとらえる包括的記述を完成した。その文体については修辞性が過度であることなどが,後世の歴史家ポリュビオスによって批判されているが,キケロなどローマの文人たちはティマイオスをローマ史の祖と仰いでいる。38巻をこえたというその労作も今は断片的に伝存するにすぎない。なお,プラトン対話編《ティマイオス》に登場する人物ティマイオス(前5~前4世紀)は,南イタリア,ロクリス出身のピタゴラス学派の哲学者で,同名のまったく異人である。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ティマイオス」の意味・わかりやすい解説

ティマイオス
Timaios

プラトン後期の対話編。プラトンと同時代のピタゴラス派の哲学者ロクロイのティマイオスが主たる話者として登場する。主題宇宙生成論で,プラトン唯一の自然哲学的著作として中世を通じてきわめて影響力があった。ティマイオスの語るミュトスは,創造者 (デミウルゴス) としての神が,混沌 (カオス) に秩序を与え,イデア範型 (パラディグマ) として可視的世界を実現させたことを伝えている。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android