テトラリン

化学辞典 第2版 「テトラリン」の解説

テトラリン
テトラリン
tetralin

C10H12(132.21).1,2,3,4-テトラヒドロナフタレンともいう.ナフタレン水素添加すると得られる.無色液体.融点-36 ℃,沸点206 ℃.0.971.1.5410.さらに水素化すればデカリンとなり,酸化すればフタル酸を与える.水に不溶,エタノールエーテルベンゼンなど多くの有機溶媒可溶.おもに塗料用溶剤として用いられる.LD50 2.86 g/kg(ラット経口).[CAS 119-64-2]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「テトラリン」の意味・わかりやすい解説

テトラリン
tetralin


テトラヒドロナフタレン略称。ナフタレンを接触水素化して得られる芳香族炭化水素の一つ。無色の液体で,融点-35.79℃,沸点207.57℃。水に不溶,多くの有機溶媒と均一に混ざる。脱水素によりナフタレンに,水素化によりデカリンになる。酸化されやすく,空気により過酸化物を生成しやすいので保存には密閉容器を用いる。臭素と反応して臭化水素を発生するので,しばしば臭化水素の実験室的製造に利用されている。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「テトラリン」の意味・わかりやすい解説

テトラリン
てとらりん
tetralin

脂環式化合物の一つ。1,2,3,4-テトラヒドロナフタレンともいう。テトラリンではナフタレンの一方のベンゼン環が水素化されて飽和しているが、他方はベンゼン環のままで残っているので、脂肪族(脂環式化合物)と芳香族の両方の性質をもっている。石炭タール油中に含まれる。ナフタレンをニッケル触媒を用いて水素化しても得られる。この際強い条件(加圧・加熱)を用いるとデカリンを与える。またα(アルファ)-テトラロンの亜鉛アマルガムと塩酸によるクレメンゼン還元でも生成する。水に溶けず、一般の有機溶媒に溶ける無色液体。酸化すると無水フタル酸を与え、脱水素によってナフタレンを生成する。おもに油脂、脂肪、樹脂、ろうなどの溶剤となるほか、洗浄剤にも使われる。

[向井利夫]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「テトラリン」の意味・わかりやすい解説

テトラリン
tetralin

化学式 C10H12 。テトラヒドロナフタリンの略。ナフタリンを部分的に水素添加して得られる無色の液体。沸点 206.5~207.5℃。塗料溶剤に用いられる。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android