テルブリュッヘン(英語表記)Hendrick ter Brugghen

改訂新版 世界大百科事典 「テルブリュッヘン」の意味・わかりやすい解説

テルブリュッヘン
Hendrick ter Brugghen
生没年:1588-1629

オランダ画家ユトレヒトでブルマールトA.Bloemaertに学んだのち1604-14年の10年間イタリア,おもにローマに滞在し,カラバッジョ芸術から感化を受ける。ファン・ホントルストとともに人工光線による強烈な明暗法特色とする〈ユトレヒトのカラバッジョ主義者〉の代表的存在であり,その彩色法はフェルメールに影響を与えた。宗教画風俗画には,16世紀北方絵画の伝統をひく奇怪な顔貌描写への傾倒も見られる。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のテルブリュッヘンの言及

【オランダ美術】より

…もちろんだからといってオランダが国際的な潮流とまったく無縁だったわけではない。ユトレヒトでは1610‐20年代にテルブリュッヘン,ファン・ホントルストらのイタリア帰りの画家がカラバッジョ様式を移植して大胆な明暗法によって広範な影響を残し,アムステルダムではエルスハイマーの影響から出発したラストマン一派が物語性を重視した聖書や神話の主題の明快な表現によってレンブラントをはぐくむ土壌を準備した。しかし大多数の市民たちは,特別の知識がなくても素直に享受できる親しみやすい画題を好んだため,15世紀以来ネーデルラント絵画の中で副次的な部分ながら魅力ある役割を演じてきた風景,静物,建築,風俗がそれぞれ自立して分野を形成し,肖像と並んで絵画制作の主流の位置を占めるにいたる。…

※「テルブリュッヘン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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