出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
食肉目イタチ科テン属Martesに属する哺乳類の総称,またはそのうちの1種を指す。テン類はヨーロッパ,アジア,アメリカに8種が分布する。イタチに似るが,体が大きく,がっしりしていて,とがった吻(ふん)と大きな耳をもつ。四肢は長い。尾には長い房毛(ふさげ)が生え,太く見える。木登りがたくみで,しばしば樹上で狩りをする。行動は敏しょうで,リスを追い枝から枝へ3.5mも飛ぶことができる。毛皮が優れ,毛皮獣として高い価値をもつ種が多い。体長38~58cm,尾長15~30cm,体重1~2.4kg。デンマーク,スペインからヒマラヤ,モンゴルにすむムナジロテンM.foina,西ヨーロッパからシベリアに分布するマツテンM.martes,アラスカからニューメキシコに分布するアメリカテンM.americana,キエリテンM.flavigulaなどがある。
テンM.melampusは,本州,四国,九州と朝鮮半島南西部に分布する。美しい毛皮をもつ種で,基亜種のホンドテンM.m.melampusには,体色(冬毛)に東北地方などのおもに寒冷地にすむ全身黄色のものと,四国,九州などのおもに温暖地にすむ黄褐色のものとの二つの色相がある。前者はキテンと呼ばれ,哺乳類中もっとも鮮やかな色彩である。毛皮としては,下毛の色により根赤,根白,根黄色などと区別され,根黄色が最高級品とされる。後者はスステンと呼ばれる。夏毛はともに黒褐色。四肢の先は黒色。体長47~54cm,尾長17~23cm,体重2kg前後。低山から標高1800mくらいまでの山地の森林にすみ,木の洞や岩穴などを巣とする。おもに夜活動し,ネズミ,リスなどの中~小型の哺乳類,鳥類,トカゲ,カエルなどのほか,カキ,マタタビ,サルナシ,オオカメノキなどの果実を食べる。3~5月に2~5子を生む。
日本にはほかに,北海道にクロテンM.zibellinaの1亜種エゾクロテンが生息する。体の大きさは,テンとほぼ同大だが,尾がやや短い。体色は灰褐色ないし黒褐色で,毛が絹状で,長く,美しいつやがある。クロテンの毛皮はセーブルsableと呼ばれ,毛皮中の最高級品の一つとして珍重される。北海道のエゾクロテンの毛皮は品質が若干劣るとされるが,乱獲がたたって激減し,捕獲禁止となっている。
執筆者:今泉 吉晴
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…毛皮用に供される動物は100種以上にのぼるが,動物の希少価値,毛皮製品の使用性に応じて,その経済的価値には大きな差異を生ずる。高級毛皮としては,ミンク,キツネ,テン,チンチラ,カラクールなどがある。ミンク,キツネなどが飼養され,またメンヨウ,ヤギ,ウサギなどの家畜が多く利用されている。…
※「テン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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