デカン

化学辞典 第2版 「デカン」の解説

デカン
デカン
decane

C10H22(142.29).CH3(CH2)8CH3.脂肪族飽和炭化水素アルカンの一つ.炭素数10のアルカンには,現在までに物理定数の知られている構造異性体が75存在する.これらの異性体の総称として用いられる場合もあるが,このうち,直鎖状のものをとくにデカンといい,異性体と対比して正デカンあるいはn-デカンともよばれる.原油中に含まれるほかに,150~180 ℃ 留分のタール中にも含まれる.製法は,デカン酸または2,2-ジクロロデカンをヨウ化水素酸赤リンとともに加熱する方法と,ナフサより分留する方法とがある.無色液体.融点-29.66 ℃,沸点174.12 ℃.0.72625.1.40967.爆発範囲0.8~5.4体積%.有機合成原料および溶剤として用いられる.[CAS 124-18-5]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「デカン」の意味・わかりやすい解説

デカン
でかん
decane

アルカンに属する炭素10個からなる鎖式飽和炭化水素の総称で、直鎖状のデカン(n-デカン)とその異性体をさす。狭義では、n-デカンCH3(CH2)8CH3だけをデカンとよぶ。n-デカンは石油中に存在し、タールの150~180℃留分にも含まれる。無色の液体で、溶剤などとして用いられる。

[佐藤武雄・廣田 穰]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

山川 世界史小辞典 改訂新版 「デカン」の解説

デカン
Deccan

インド亜大陸の半島部のうち,ヴィンディヤ山脈やナルマダー川以南の高原地帯をさす。語源サンスクリット語のダクシナ(南部)。狭義にはそのうちのクリシュナー川とその支流トゥンガバドラー川以北の地域をさすこともある。イギリス植民地期以前においては,マウリヤ朝ムガル帝国の一時期を除いて,北インドの政権とは異なる独自の地方勢力の盛衰が見られた。

出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報

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