改訂新版 世界大百科事典 「デバレラ」の意味・わかりやすい解説
デ・バレラ
Eamon De Valera
生没年:1882-1975
アイルランドの民族主義的政治家。アメリカのニューヨーク市で生まれ,父の死により3歳のときからアイルランドの母方の祖母のもとで育てられた。数学教師として教壇に立つ一方,ゲーリック協会に加盟し,民族主義運動を続けた。1916年のイースター蜂起では義勇軍指揮官としてイギリス軍と戦い,敗れて死刑を宣告されるが,アメリカ生れのため17年に釈放された。その後の独立闘争でも一貫して指導的役割を果たした。アイルランド自由国成立後,一時期はこれを拒否したが,やがて国会に復帰し,32年から首相(1932-48,51-54,57-59)を務めた。この間,イギリスとの経済戦争,憲法改正,第2次世界大戦における中立政策などを推し進めてアイルランドの経済的・政治的自立に力を注ぎ,また,戦前には国際連盟総会議長を務めて小国の国際政治における地位の確立に貢献した。59年から73年までは連続2期大統領を務めた。夫人S.デ・バレラ(1878-1975)は文学者として著名である。
執筆者:上野 格
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報