トウゴマ(読み)とうごま(英語表記)castor

翻訳|castor

日本大百科全書(ニッポニカ) 「トウゴマ」の意味・わかりやすい解説

トウゴマ
とうごま / 唐胡麻
castor
[学] Ricinus communis L.

トウダイグサ科(APG分類:トウダイグサ科)の植物で、ヒマ(漢名は蓖麻(ひま))ともいう。原産地の熱帯東部アフリカとインドでは低木、または高さ6メートルを超える高木となるが、温帯では一年草で高さ約3メートル。現在では、世界の熱帯と温帯で油脂植物として広く栽培されている。分枝はまばらで大きな葉を互生する。葉は掌状に5~11に中裂し、鋸歯(きょし)がある。毛はなく、長い葉柄は盾形につく。秋には、茎の先端の節から順次下方へ向かって、長さ約20センチメートルの直立した総状花序をつける。各花序の上部には雌花、下部には雄花がつく。雄花は5個の花弁をもち、花糸は多数に分かれて黄色の葯(やく)を数多くつける。雌花は小さな5花被(かひ)をもち、花柱は6裂する。子房には肉質の毛があり、成熟すると蒴果(さくか)となる。種子は長さ8~22ミリメートルの光沢のある楕円(だえん)体で、黒褐色の斑点(はんてん)がある。種子および葉の色と大きさには変異が多い。種子は有毒タンパクのリシンと、アルカロイドリシニンを含むため、2~3個食べると致死量となる。また、種子は脂肪油を40~50%含むが、その成分の大部分リシノール酸グリセリドである。

 種子あるいは種皮を除いた仁(じん)(果実の核)を冷圧して得たひまし油蓖麻子油)は下剤として用いるほか、印刷インキ、化粧用ポマードなどに大量に使用される。また、かつては飛行機の潤滑油でもあった。内乳の細胞に充満しているアリューロン粒(糊粉(こふん)粒)は実験材料としてよく用いられる。なお、和名のトウゴマは、種子に脂肪油が多いことからつけられたものである。

[長沢元夫 2020年6月23日]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「トウゴマ」の意味・わかりやすい解説

トウゴマ

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

百科事典マイペディア 「トウゴマ」の意味・わかりやすい解説

トウゴマ

ヒマ

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

世界大百科事典(旧版)内のトウゴマの言及

【ヒマ(蓖麻)】より

…トウゴマともいう(イラスト)。熱帯東アフリカ原産のトウダイグサ科の木質草本。…

※「トウゴマ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android