トキソプラズマ症(読み)トキソプラズマしょう

精選版 日本国語大辞典 「トキソプラズマ症」の意味・読み・例文・類語

トキソプラズマ‐しょう ‥シャウ【トキソプラズマ症】

〘名〙 (トキソプラズマはtoxoplasma) トキソプラズマという原虫が寄生して起こる病気。病人の大部分乳幼児。多くは胎児感染で、流産や死産の他、重い脳障害の徴候を示して、しばしば生後数週間で死亡する。生後に感染した場合は疲労感、発熱、発疹、脳炎、リンパ腺炎などの症状を起こす。人獣共通伝染病で、特にブタへの感染率が高い。

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デジタル大辞泉 「トキソプラズマ症」の意味・読み・例文・類語

トキソプラズマ‐しょう〔‐シヤウ〕【トキソプラズマ症】

toxoplasmosis原生動物の一種のトキソプラズマが寄生して起こる病気。人間のほか牛・羊・豚・犬・猫・鳥などにもみられ、食肉や排泄物はいせつぶつから感染する。発熱・リンパ節腫脹しゅちょう発疹ほっしん肺炎脳炎などの症状がみられるが、症状の現れないことが多い。妊娠中の場合は流産や先天性脳障害を起こすが、非常にまれ。

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内科学 第10版 「トキソプラズマ症」の解説

トキソプラズマ症(原虫疾患)

定義
 トキソプラズマ(Toxoplasma gondii)による感染症である.マラリア原虫・クリプトスポリジウムと同様にアピコンプレクサ門に属する.
原因・病因
 トキソプラズマは有性・無性生殖を行う.ネコ科の動物が終宿主であり,そのなかで有性生殖を行う.ヒトを含めたその他の動物のなかでは,トキソプラズマは無性生殖のみを行う.中間宿主のなかでは急増虫体(tachyzoite)と緩増虫体(bradyzoite)の2つの形をとり,前者がトキソプラズマ症の病因となる.急増虫体は宿主細胞内で分裂・増殖し,細胞を破壊して放出され新しい細胞に侵入する.急増虫体は筋肉や中枢神経系などで緩増虫体(bradyzoite)に分化・被囊化し,囊子(シスト,cyst)を形成する.栄養型(図4-15-5A)は長さ約4~7 μm,前端には胞子虫特有のapical complexをもつ.囊子(図4-15-5B)は通常径数十 μm に達し,内部には多数の緩増虫体を含む.終宿主への感染はネズミなどの体内の緩増虫体の経口摂取により起こる.ネコにはじめて感染した虫体は小腸の粘膜上皮細胞に侵入し,メロゴニー(merogony),ガメトゴニー(gametogony)とよばれる数段階の分化の後受精し,オーシストを形成する(図4-15-5C).オーシストはネコの糞便内に排出され,外界で成熟し,感染能力をもつスポロゾイト(sporozoite)が形成される.ヒトへの感染は,ブタ・ヤギ・ヒツジなど食肉中の囊子の経口摂取によることが多い.ネコ糞便中のオーシストも感染源となる.ヒトで最も重篤な結果を生む先天性感染は妊娠中に初感染した場合にのみ起こり,経胎盤的に急増虫体が胎児に移行することで起こる.
疫学
 感染は鳥類・齧歯類・家畜を含めた温血動物に広くみられる.わが国では成人の10~15%が抗体を保持している.アフリカやヨーロッパなどでは感染率はより高い.一般に好んで羊・牛・豚肉などの生食をする地域で感染率が高い.遺伝子型別から大きく3つの群(タイプⅠ〜Ⅲ)に分けられ,ヒト・動物における宿主域,地域分布,病原性が異なる.
病理・病態
 免疫機能が正常な感染者の大多数は無症状キャリアである.AIDS悪性リンパ腫,白血病,臓器移植時など免疫不全を伴う際に,組織内囊子からの播種性の全身感染が起きたり,脳炎などがみられる.すなわち本症は日和見感染症(opportunistic infection)の1つである.急性期には急増虫体は心臓を含めた全身の筋肉・肝臓・脾・リンパ節・中枢神経系を含めた全身の臓器にみられる.感染局所では変性した虫体周囲の炎症,類上皮細胞の小肉芽腫形成を認める(図4-15-6).感染制御には液性免疫は不十分で,IL-2,IL-12,IFN-γなどサイトカインの協調作用とともに,CD8
ヘルパーT細胞依存的な細胞性免疫が重要である.
臨床症状
 先天性トキソプラズマ症の4主徴は網脈絡膜炎(retinochoroiditis),水頭症(hydrocephalus),または小頭症(microcephalus),脳内石灰化(intracranial calcification),精神・運動障害(psycho-motor disorder)である.さらに肝腫大,貧血,黄疸,リンパ節腫脹を呈する.先天性トキソプラズマ症の場合,妊娠の時期により胎児の感染リスクおよび重症度は異なる.妊娠初期の母体感染の場合,胎児の感染リスクは低いが,感染した場合の多くは流産の帰結をたどる.一方妊娠後期に感染した場合,胎児の感染の可能性は高く,出産時の見かけの重症度は低いものの,その後症状を示すことが多い.主症状は,中枢神経系の壊死・結節形成,血管周囲壊死による病的反射,痙攣性の四肢麻痺,髄液圧の亢進である.後天感染で最も多い病型は頸部・腋窩などのリンパ節炎で,自然治癒することが多い.AIDSなどの免疫不全の場合は,多巣性壊死性脳炎(multifocal necrotizing encephlitis)とともに肝炎・肺炎・心筋炎などの全身感染を伴う.
診断・鑑別診断
 血液中やリンパ節からの原虫の検出は検出率が低く通常行われない.急性,亜急性病変には免疫診断を用いる.ラテックス凝集反応や間接蛍光抗体法,ELISAなどがキット化されている.また,色素試験(Sabin-Feldman’s dye test)は特異性が高いが生虫体を使用するため一般検査室では実施できない.母体の感染の診断には,ペア血清(妊娠時・前と妊娠後)が必要である.妊娠前には陰性であり,妊娠中に陽転した場合には胎児が先天性トキソプラズマ症となる可能性がある.慢性病態である先天性トキソプラズマ症の多く,特に網脈絡膜炎の場合は抗体価も低く信頼度は下がる.EBウイルスサイトメガロウイルス,HIVを含めたウイルス感染,結核・梅毒など細菌感染,真菌感染による脳炎・リンパ節炎・網脈絡膜炎との鑑別が必要である.
治療
 通常リンパ節炎のときは相助作用をもつサルファ剤(スルフォナマイドなど)とピリメタミンを投与する.サルファ剤,ピリメサミンは催奇形性をもつため妊婦に投与してはならない.先天感染を疑った妊婦あるいは眼症状のある場合はアセチルスピラマイシンを投与する.効果はサルファ剤とピリメタミンに劣るが,先天感染と発症を軽減するとされている.
予防
 獣肉はよく加熱調理されたものを摂取し,感染の可能性のあるネコ(特に子猫)との接触を避ける.未感染の妊婦は注意が必要である.[野崎智義]

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六訂版 家庭医学大全科 「トキソプラズマ症」の解説

トキソプラズマ症
トキソプラズマしょう
Toxoplasmosis
(感染症)

どんな感染症か

 トキソプラズマ症は自然界の動物に比較的広範囲にみられる人獣共通(じんじゅうきょうつう)感染症で、日本人でも成人の20~30%がトキソプラズマ原虫に感染しています。トキソプラズマ症に感染したネコなどの便に含まれるオーシスト(卵嚢子(らんのうし))に汚染された飲食物や、シスト(嚢子)を含む羊肉などを生焼けで食べたりすることにより感染します。

 トキソプラズマ感染後にエイズなどで免疫不全状態になった場合、あるいは妊婦が妊娠初期に初感染し、原虫が母体から胎児へ移行して垂直感染を起こした場合以外は、症状を示すことはまれです。

症状の現れ方

 先天性感染は流産・早産といった転帰をとることが多いと考えられています。妊婦の感染で胎児に影響が及ぶのは、感作(かんさ)されていない母親が妊娠初期に初めて感染した場合に限られています。患児は網脈絡膜炎(もうみゃくらくまくえん)脳水腫(のうすいしゅ)、脳内石灰化、精神・運動機能の発達遅延などの症状を示します。

 健常者が後天的に感染した場合、ほとんどが無症状のまま経過することが多いのですが、免疫力が低下している人の場合は、髄膜脳炎(ずいまくのうえん)心筋炎(しんきんえん)肺炎、リンパ節炎、網脈絡膜炎を起こすことがあります。とくにエイズなどの免疫不全状態では致死性の脳炎に進むことがあります。

検査と診断

 感染の有無の判定は一般に血清中の抗体の検査により行われます。凝集法、免疫酵素抗体法、色素試験などがあります。血清抗体の検査にはIgGとIgMの2種類の検査があります。感染の初期にはIgMが、それ以降はIgGが上昇するので、IgGとIgMを区別したり、抗体の親和性を調べることでいつ感染したか推定できることもあります。

 また、患者さんの脳脊髄液やリンパ節組織を材料としてトキソプラズマのDNAを増幅したり、患者さんの血液中のトキソプラズマの抗原を免疫酵素抗体法で検出する方法も、一部の研究機関で行われています。

治療の方法

 トキソプラズマ症を完全に治療できる薬は見つかっていません。患者の脳や骨格筋・心筋などにいて休眠しているシスト(嚢子)と呼ばれる原虫を殺す薬はないからです。活発に分裂・増殖するトキソプラズマ原虫にはピリメタミン、サルファ剤、アセチルスピラマイシンなどが有効とされ、トキソプラズマ症の治療に用いられています。

予防のために

 妊娠初期にトキソプラズマに初めて感染すると、胎児が先天性トキソプラズマ症になる可能性があります。この時期にはネコとの接触を避ける、食肉は十分に加熱するなどの注意が必要です。

 すでに感染している女性が妊娠した場合は、胎児に先天性感染を起こす危険はまずありません。

野崎 智義

トキソプラズマ症
トキソプラズマしょう
Toxoplasmosis
(女性の病気と妊娠・出産)

先天性トキソプラズマ症

 一般に、妊婦が初めてトキソプラズマ(原虫の一種)に感染すると、血液中に流入したトキソプラズマが胎盤を介して児に感染し、児に水頭症(すいとうしょう)脈絡網膜炎(みゃくらくもうまくえん)を起こすことがあります。これを先天性トキソプラズマ症といいます。

 感染経路は口が主で、目や呼吸器もあるといわれています。経口感染の感染源は、食用肉・内臓(不十分な加熱処理のブタ・ヒツジ・ウシ・トリ、レバーなど)に含まれるトキソプラズマのシスト(嚢子)、あるいはネコの糞に多量に含まれるオーシスト(胞嚢体あるいは卵嚢子)があります。オーシストは土中で18カ月間感染性を有し、塩素消毒は無効です。

 東京近郊の妊婦のトキソプラズマ抗体保有率は7.1%ですが、南九州では14.0%と地域により差があります。東京近郊のデータでは、妊婦の妊娠中の初感染率は0.13%と推定されており、これをもとに推計すると、全国で年間約480例、うち軽症が4.4%で約70例、重症が2.6%で約40例となります。

 不顕性(ふけんせい)の先天性トキソプラズマ症児は370例で、その一部は中学生ぐらいまでに脈絡網膜炎を発症することが眼科医により指摘されており、新生児期の診断・治療が有効といわれています。

検査と診断

 トキソプラズマ抗体またはトキソプラズマIgG抗体が陽性ということは、トキソプラズマに感染したことを示しますが、その時期は判定できません。

 トキソプラズマIgM抗体が陽性であれば、最近である可能性があります。妊娠初期に陽性であれば妊娠中の初感染の可能性があり、先天感染の可能性も生じてきます。

 通常、妊娠初期にトキソプラズマIgM抗体が陰性であれば、妊娠前の初感染の可能性が高く、先天感染の可能性はなくなります。

 一般に微生物に感染した場合、宿主は初期にはアビディティ(抗原結合力)の低いIgG抗体を産生しますが、時間が経過するにつれてアビディティの高いIgG抗体を産生します。これを応用し、初感染からの時期を推定することができます。したがって、トキソプラズマIgM抗体が陽性でもトキソプラズマIgG抗体のアビディティが高ければ、必ずしも妊娠中の初感染を意味しません。IgM抗体が陽性で、かつIgG抗体のアビディティが低ければ、最近の感染を意味します。

 妊娠中の感染が否定できなければ、羊水穿刺(せんし)により羊水を採取し遺伝子診断を行うか、アセチルスピラマイシンによる治療を開始します。遺伝子診断が陽性であれば先天感染は成立したと判断し、陰性であればその可能性は低くなります。

治療の方法

 アセチルスピラマイシンは、1日1200㎎(分4)で21日間服用し、14日間休薬することを1周期とし、これを分娩まで繰り返します。妊婦の治療により重症先天性トキソプラズマ症の発生率が2分の1~7分の1に減少することが認められています。

小島 俊行

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改訂新版 世界大百科事典 「トキソプラズマ症」の意味・わかりやすい解説

トキソプラズマ症 (トキソプラズマしょう)
toxoplasmosis

人獣共通伝染病の一つ。病原体は2~4μm×4~7μmの三日月形をした原虫の1種トキソプラズマ・ゴンディイToxoplasma gondiiである。固有宿主はネコ科の動物であるが,ネコ以外でも,イヌ,ウシ,ブタ,メンヨウ,ヤギ,ニワトリ,ウマ,ネズミなどにも感染し,これらの動物の組織内に寄生する。原虫の生活環にみられる各発育形態のうち,ヒトや動物の感染源となるものは増殖型,シスト(囊子),オーシスト(卵囊子)の3種で,ヒトの場合はシストとオーシストが感染源となるが,胎内感染では増殖型が原因となる。感染は,ブタ,ウシ,ヒツジ,ウマなどの肉を十分加熱しないで食べた場合や,ネコの便によって直接に,またはハエや昆虫を介して汚染された食物を食べた場合に,虫体が経口的に侵入することによって起こると考えられている。原虫は世界中に分布し,年齢とともに感染の機会が多くなる。日本人では地方によっては平均50%前後の抗体保有率を示すところもある。感染を受けても,たいていは無症状であり,ときにリンパ節炎,発熱,発疹などがある。問題になるのは妊婦がはじめて感染を受けた場合で,虫体が胎盤を通って胎児に移行し,胎児に脳や眼をはじめとする全身感染を起こすことが知られている。これは先天性トキソプラズマ症といわれるが,初感染を受けた妊婦の約1/3の胎児に起こるといわれる。妊娠初期に感染すると多くは流産,死産となるが,妊娠後半に感染すると,生まれた新生児に脈絡網膜炎,水頭症,脳内石灰化がみられたり,ときには痙攣(けいれん),貧血,黄疸遷延,肝脾腫などがあらわれる。また,新生児期に異常がなくても,だんだん水頭症,知能障害などが起こってくることもある。

 診断は,酵素免疫測定法や蛍光抗体法を用いた血清抗体試験による。治療の必要性や継続期間は,症状の重症度や症例(とくに妊娠時の感染など)によって決められ,治療にあたってはサルファ剤,ピリメサミン,スピラマイシンなどが用いられるが,これらの薬は副作用も強く治療は難しい。

 予防としては,肉は十分に熱を通して食べること,食前の手洗いの励行が肝要であり,ネコとの過度の接触を避けることが望ましい。
執筆者:

家畜では,ブタ,ヒツジ,イヌ,鳥類に自然感染を起こし,とくにブタへの感染率が高い。ブタに感染すると,高熱,食欲減退,元気喪失,呼吸困難,鼻汁の流出,眼結膜の充血,下痢などの症状がみられる。また,てんかん様発作,嘔吐,起立不能などの神経症状を呈することもある。病豚の解剖所見では,肺水腫,点状出血,巣状壊死(えし),肺炎,肝臓・脾臓の腫大,腹水の増大,リンパ節の腫大がみられる。血清診断として色素試験が応用されている。予防には感染動物の筋肉中の囊胞とネコの腸から排出されるオーシストの排除が必要である。
執筆者:

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家庭医学館 「トキソプラズマ症」の解説

ときそぷらずましょう【トキソプラズマ症 Toxoplasmosis】

[どんな病気か]
 哺乳類(ほにゅうるい)や鳥類に寄生するトキソプラズマ原虫(げんちゅう)が人に感染したときにおこる病気です。ネコの内にあるオーシスト(休止状態の原虫)や、豚肉、牛肉、羊肉内に含まれるシストという嚢子(のうし)を摂取することで感染します。
 胎児(たいじ)に胎盤感染(たいばんかんせん)することもあります。
[症状]
 妊婦が初めてこの病気にかかると、流産、早産の原因になるほか、感染した時期によっては、赤ちゃんに脳水腫(のうすいしゅ)、精神運動異常などの障害がおこることがあります。
 成人になって感染した場合は、大部分の人は無症状ですが、発熱、発疹(ほっしん)、脳脊髄炎(のうせきずいえん)、リンパ節炎(せつえん)、脈絡網膜炎(みゃくらくもうまくえん)、肺炎などがおこることもあります。
 とくにエイズなどで免疫不全(めんえきふぜん)状態の人に感染すると、激しい脳炎や脳腫瘍(のうしゅよう)などをおこし、重症化します。
 慢性化すると、リンパ節の腫(は)れと眼底の異常変化が残ります。
[検査と診断]
 診断を確定するには髄液(ずいえき)などの中に原虫の存在を証明しなければなりませんが、簡単には検出できないため、ふつうは血清(けっせい)検査で診断します。
 なお、妊娠中に感染した可能性があるときは、産婦人科で血清検査を受けましょう。
[治療]
 ピリメタミンやサルファ剤の内服を約1か月間続けます。抗生物質も内服します。早めの治療が必要です。
 ペットの糞便(ふんべん)に直接、触れないようにし、豚肉はよく加熱して食べるようにします。
 妊婦や、豚肉を扱う人は抗体(こうたい)検査をときどき受け、感染が証明されたら早く治療を受けてください。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「トキソプラズマ症」の意味・わかりやすい解説

トキソプラズマ症
トキソプラズマしょう
toxoplasmosis

原虫のトキソプラズマによる感染症。胎児期に感染すると流産や死産の原因となり,出生しても先天性トキソプラズマ症のために脳水腫,精神障害その他の症状がみられることが多い。成人では感染しても多くは不顕性感染に終る。ヒトは家畜や食肉を通じて感染するので,予防に留意する必要がある。治療にはサルファ剤やスピラマイシンなどが用いられる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「トキソプラズマ症」の意味・わかりやすい解説

トキソプラズマ症
ときそぷらずましょう

トキソプラズマ

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栄養・生化学辞典 「トキソプラズマ症」の解説

トキソプラズマ症

 原虫感染症の一つで,トキソプラズマの経口感染により起こる.

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世界大百科事典(旧版)内のトキソプラズマ症の言及

【ネコ(猫)】より

…そのほかにはコクシジウム症があげられる。この病原虫は3種類が知られており,そのうちの一つはあまり多くはないがトキソプラズマ症と同じ病原体である。これらはいずれも検便で診断でき,治療も可能で恐れる必要はない。…

※「トキソプラズマ症」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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