トキンソウ(読み)ときんそう

改訂新版 世界大百科事典 「トキンソウ」の意味・わかりやすい解説

トキンソウ (吐金草)
Centipeda minima(L.) A.Br.et Aschers.

アジアの東部からオーストラリアにかけて分布するキク科一年草。庭の日陰や道ばたなどに生える。茎はよく分枝して地をはい,ところどころから根を出す。主茎は大きいものでも20cmくらいである。葉はくさび形で長さ1~2cm,互生する。花は7~10月,葉腋ようえき)につく直径3~4mmの小さな頭花。頭花は無柄または短柄で,扁球形,縁には筒状雌花が多列に並び,中央には筒状の両性花がある。雌花の花冠は長さ0.2mm,両性花の花冠は長さ0.5mmで,先が4裂する。瘦果(そうか)は長さ1.3mm,冠毛を欠く。〈吐金草〉は頭花を押しつぶすと黄色の瘦果が出てくるところから名付けられた。タネヒリグサハナヒリグサともいう。中国では慢性鼻炎,鼻たけ鼻詰り眼病頭痛の治療に民間薬として用い,鵞不食草(がふしよくそう)と呼ばれている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「トキンソウ」の意味・わかりやすい解説

トキンソウ
ときんそう / 吐金草
[学] Centipeda minima (L.) A.Br. et Asch.

キク科(APG分類:キク科)の一年草。茎は分枝して地上をはい、長さ5~20センチメートル。葉は互生し、さじ状のくさび形をなして長さ1~2センチメートル。7~9月、葉腋(ようえき)に径約0.3センチメートルの小さな球状の頭花をつける。頭花には少数の両性花が中央に、多数の雌性花が周辺にある。痩果(そうか)は長さ0.13センチメートル。日当りのよい道端や庭などに生え、日本全土、東アジア、インド、オーストラリアに広く分布する。別名をハナヒリグサ、タネヒリグサというが、いずれも、頭花を押しつぶすと容易に種子が出てくるところからつけられた。中国では慢性鼻炎、鼻茸(はなたけ)、鼻づまり、眼病、頭痛の治療に民間薬として用いるという。

小山博滋 2022年3月23日]


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