トドノネオオワタムシ(英語表記)Prociphilus oriens

改訂新版 世界大百科事典 「トドノネオオワタムシ」の意味・わかりやすい解説

トドノネオオワタムシ
Prociphilus oriens

半翅目タマワタムシ科の昆虫極東から東南アジアに分布するアブラムシで,体長4~5mm,腹部は白色綿状の分泌物に包まれ,その他の部分は暗灰色に見える。春はヤチダモの若枝や葉に群生して,葉を縮らせる。初夏にヤチダモを飛び去り,トドマツの根に移住する。和名のトドノネはこれに由来する。夏の間地下で繁殖し,晩秋に再び地上に出てヤチダモに帰る。夏の世代が造林のために植栽されたトドマツの苗木に寄生して,被害を出すことがある。

 ワタムシの仲間はいずれもその名のように綿状の分泌物を体にまとうので,晩秋の移住のために緩やかに飛ぶ有翅虫は,北国では冬の訪れを告げる風物詩として知られ,ユキムシ(雪虫)と呼ばれる。オオワタ,シロバンバの俗称もある。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android