トリプラ(読み)とりぷら(英語表記)Tripura

改訂新版 世界大百科事典 「トリプラ」の意味・わかりやすい解説

トリプラ[州]
Tripura

インド北東部の州。アラカン山系北西端に位置し,東を除く三方バングラデシュに囲まれている。面積1万0500km2,人口320万(2001)。州都アガルタラAgartala。西端部はガンガーガンジス)・ブラフマプトラ三角州に属し標高50mに満たない平原であるが,中央部以東は標高600m以下の低い丘陵が南北に並走する。平原と谷底平野では水田や常畑で米,ジュートサトウキビ綿花菜種が栽培されるが,丘陵ではチベット・ビルマ語系諸族が焼畑農業を営んでいる。工業は繰綿,タバコ加工,精油などの農産物加工に限られている。トリプラ王国は1000年以上の長い歴史をもち,イギリス領時代にもヒンドゥー藩王国として存続したが,1949年にインドに編入された。56年には連邦直轄地となり,72年には州に昇格した。西端部に所在するラーダーキショーレプルはヒンドゥー教徒の重要な巡礼地で,16世紀初めの寺院が残る。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「トリプラ」の意味・わかりやすい解説

トリプラ
とりぷら
Tripura

インド東部の州。北東部はアッサム州に接し、その他はバングラデシュに囲まれる。面積1万0486平方キロメートル、人口319万1168(2001)、367万3917(2011センサス)。州都はアガルタラ。1300年間にわたって繁栄したトリプラ藩王国の地で、同王国は18世紀ころから衰退し、1949年にインドに併合された。1956年に中央政府直轄地区、1972年に州となった。農耕地が総面積の24%を占め、低地では米、ジュート、ゴム、丘陵地ではワタ、茶を産する。総面積の55%を占める森林地帯のうち8%は原生林で覆われており、内陸の平原や丘陵地では大規模な移動耕作がみられる。先住民はモンゴロイド系のトリプラ人、主要言語はベンガル語で、人口の70%はヒンドゥー教徒である。近年バングラデシュからの移住者が増大し社会問題化している。州都アガルタラとコルカタカルカッタ)の間に定期航空便がある。

米田 巌]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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