精選版 日本国語大辞典 「トルースタイト」の意味・読み・例文・類語
トルースタイト
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フランスの化学者トルーストを記念する顕微鏡組織の名称であり、厚さ0.01マイクロメートル程度の微細な炭化鉄Fe3Cと鉄の結晶とが重なり合った二相組織であることが電子顕微鏡により確認されている。この組織は、鋼を高温に加熱してオーステナイト組織としたものを急冷(焼入れ)して、硬質のマルテンサイト組織にしようとする際に、ときとして発生するもので、冷却が不十分な場合に鋼中の炭素原子が炭化鉄を形成してしまうために生成する。通常、オーステナイトの結晶粒の境界に沿っていぼ状に成長するので、結節状トルースタイトとよばれる。均一なマルテンサイト組織にしようという焼入れ本来の目的に反するので、結節状トルースタイトの発生を防止することが必要であり、その対策として、冷却速度を速くするか、または、ニッケルやクロムなどを鋼に添加して、炭化鉄の生成を抑制する方法がとられている。
[西沢泰二]
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