トワダオオカ(読み)とわだおおか

日本大百科全書(ニッポニカ) 「トワダオオカ」の意味・わかりやすい解説

トワダオオカ
とわだおおか / 十和田大蚊
[学] Toxorhynchites towadensis

昆虫綱双翅(そうし)目糸角亜目カ科に属する昆虫。体長18~20ミリメートルの大形美麗種。体の地色は青黒色で、腹部は青色光沢をもつ黒褐色鱗(りん)で覆われており、側面に白斑(はくはん)をもつ。腹部第6・第7節には黒紫色の長毛、第8節には橙(だいだい)色の長毛束を生ずる。山地ブナ帯に多く、6~7月に出現する。日本固有種で、成虫は訪花性で昼間活動するが、吸血はしない。幼虫はブナの樹洞などに生息し、ほかのカやユスリカの幼虫を捕食し、越冬する。奄美(あまみ)諸島から西表(いりおもて)島にかけては、紫緑色を帯びた美麗種のヤマダオオカT. yamadaiが分布する。

倉橋 弘]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「トワダオオカ」の意味・わかりやすい解説

トワダオオカ
Toxorhynchites towadensis

双翅目カ科。体長 10~13mmで,日本産カ科中の最大種である。体は黒色で緑と青藍色鱗片におおわれ,非常に美しい。は湾曲する。尾端鱗毛は総状。肢の 跗節には白色部があり,飛翔中目立つ。雌雄ともに花蜜を吸い,吸血しない。幼虫は樹洞内のたまり水などにすみ,他種のカの幼虫 (ぼうふら ) を捕食する。山地に産し,北海道,本州四国,九州に分布するが,その数は少い。 (→ )

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世界大百科事典(旧版)内のトワダオオカの言及

【カ(蚊)】より

…この中でオオカ亜科のカはいずれも大型で(翅長7~9mmくらい),吸血の機能を欠き,幼虫は他のカの幼虫を捕食する性質をもつ。日本には山地の樹洞などに生息するトワダオオカがいる。他の亜科のカは,大部分が翅長3mm前後と小さいが,吸血性をもつため古くから注目されていた。…

※「トワダオオカ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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