ドイツ労働戦線(読み)ドイツろうどうせんせん(英語表記)Deutsche Arbeitsfront; DAF

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ドイツ労働戦線」の意味・わかりやすい解説

ドイツ労働戦線
ドイツろうどうせんせん
Deutsche Arbeitsfront; DAF

ナチスによって組織されたドイツ資本家,労働者の統合組織。ナチスは 1933年1月の政権獲得ののちに,あらゆる労働者組織,労働組合を解散させ,「全ドイツ人の現実的な民族,業績共同体の形成」のためにドイツ労働戦線を組織した。経営共同体を基礎的細胞とし,資本家が指導者に,使用人,労働者が従属者となって経営を推進民族国家の共同利益に向って働くことを目指したもので,使用人,労働者には資本家に対し絶対的服従と忠誠が義務づけられた。日本の産業報国会はこのドイツ労働戦線にならったもの。

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世界大百科事典(旧版)内のドイツ労働戦線の言及

【第三帝国】より

…ヒトラーは,さしあたりは再軍備を国防軍の専門家集団にゆだね,その財政・金融面からの管理については,帝国銀行総裁と経済相を一身に兼ねるH.G.シャハトを頂点とする財界人の力を借りた。また労働組合を解散した後につくられた巨大なドイツ労働戦線Deutsche Arbeitsfront(2000万人の構成員と3万~4万人の常勤職員)は,〈経営共同体〉を理念とした(1934年1月の〈国民的労働秩序法〉)が,単位経営ではそれまでの経営者が〈経営指導者〉とされ,〈指導者原理〉が導入された。また,ドイツ労働戦線付属の〈喜びを通じて力をKraft durch Freude〉(歓喜力行団)という組織は,労働者の余暇を組織した(観劇,スポーツ,旅行)。…

※「ドイツ労働戦線」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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