ドゥルミトル国立公園(読み)ドゥルミトルこくりつこうえん

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ドゥルミトル国立公園」の意味・わかりやすい解説

ドゥルミトル国立公園
ドゥルミトルこくりつこうえん
Durmitor National Park

モンテネグロ北部,ボスニア・ヘルツェゴビナとの国境近くの山岳地帯に広がる公園。1952年設定。面積 330km2。ドゥルミトル山(2522m)を最高峰とする山麓には,氷河が刻んだ険しい峡谷や多くの湖,洞穴が連なる。地質学的には,中生代新生代の岩層をもち,化石も多数発見されている。峡谷を覆う原生林には人跡未踏の地域が残り,古代マツなどの太古の植物が群生する。この地の固有種を含む 700種の植物がみられるほか,シャモアアルプスカモシカ),ヨーロッパオオライチョウヨーロッパヤマネコヒグマなどの野生生物も生息する。1980年世界遺産自然遺産に登録。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界遺産詳解 「ドゥルミトル国立公園」の解説

ドゥルミトルこくりつこうえん【ドゥルミトル国立公園】

1980年に登録、2005年に登録内容が変更された世界遺産(自然遺産)で、モンテネグロ北部のドゥルミトル山脈にある国立公園。公園には、標高2522mのドゥルミトル山を中心に、中生代末期から新生代第三紀のアルプス造山活動期の海底堆積物が残っている。また、氷期には氷河がドゥルミトル山脈を削り、ヨーロッパ最深のタラ峡谷(深さ1900m)や無数の氷河湖を形成し、起伏に富んだ美しい景観をつくり出した。一帯はヨーロッパ最後の秘境といわれ、古代マツなど23の固有種を含む約700種の植物が生息し、ヨーロッパオオライチョウやシャモアなどの稀少動物の生息地となっている。このような自然が評価され、世界遺産に登録された。◇英名はDurmitor National Park

出典 講談社世界遺産詳解について 情報

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android