ドニエストル川(読み)どにえすとるがわ(英語表記)Днестр/Dnestr

改訂新版 世界大百科事典 「ドニエストル川」の意味・わかりやすい解説

ドニエストル[川]
Dnestr

ウクライナモルドバ共和国を流れる川。ドネストル川とも呼ぶ。長さ1352km,流域面積7万2100km2。はじめカルパチ山脈(ウクライナ,ポーランド,スロバキア3国国境付近)の標高約1000mの斜面にはじまり,北,つづいて北東,南東に向きをかえ,イワノ・フランコフスクを過ぎてウクライナからモルドバに入り(この間約150kmは両国の国境河川となる),リブニツァ,チラスポリを経てドニエストル潟(長さ41km)から黒海にそそいで終わる。最上流部以外は標高差も小さいため激しい曲流をくりかえす。年間平均流量はベンデリ市(チラスポリの上流)で310m3/s。結氷・融氷をくりかえす春や秋のころには氷のダムアップ現象が見られ,夏の出水もときに災害をもたらす。下流ドゥボッサリDubossary(キシニョフに近い)にダムと発電所が建設された。河川はいかだ流しや灌漑・上水道源に利用される。定期航路はウクライナとモルドバの国境となっている中流部のソロキから河口までを結ぶ。しかしドゥボッサリのダム地点は陸路の中継手段が必要である。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ドニエストル川」の意味・わかりやすい解説

ドニエストル川
どにえすとるがわ
Днестр/Dnestr

ウクライナとモルドバ共和国を南流して黒海に注ぐ川。ドニステール川ともいう。流長1352キロメートル、流域面積7万2000平方キロメートル。ウクライナとポーランドの国境付近のカルパティア山脈北側斜面に源を発し、上流部は峡谷で急流をなすが、ガリチから下流では流れも緩く、下流域にはデルタや潟湖(せきこ)を形成している。暖冬には結氷しない。流域はウクライナ穀倉地帯の一部で、小麦、トウモロコシヒマワリテンサイ、タバコ、ブドウなどが生産される。1954年にドゥボサールイにダムが建設された。沿岸にモギリョフ・ポドリスキー、モルドバのソロキ、ティラスポリなどの河港都市がある。

[須長博明]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ドニエストル川」の意味・わかりやすい解説

ドニエストル川
ドニエストルがわ

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