ドネストル川(読み)ドネストルがわ(英語表記)reka Dnestr

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ドネストル川」の意味・わかりやすい解説

ドネストル川
ドネストルがわ
reka Dnestr

ウクライナ南西部とモルドバを流れる河川。ドニエストル Dniesterとも呼ばれ,ウクライナ語名ドニステル Dnister,ロシア語名ドネストル Dnestr,ルーマニア語名ニストル Nistrul,トルコ語名トゥーラ Turla。全長 1352km。流域面積7万2000km2カルパート山脈の北斜面,ポーランドとウクライナの国境付近に源を発し,ほぼ南東流してウクライナとモルドバの国境をなしたのちモルドバに入り,ウクライナのオデーサオデッサ)付近で黒海に注ぐ。結氷は通常 12月末から 1月初めにかけて始まり,約 2ヵ月間続くが,凍結しない年もある。流域の人口密度は高いが,川沿いに大きな都市はなく,ウクライナのリビウリボフ)やテルノーピリ(テルノーポリ),モルドバのキシナウキシニョフ)などはドネストル川の支流が刻む谷の上に立地している。河口から約 1200kmは航行が可能で,モルドバのソロカからドゥベサリ,さらにドゥベサリから海へと航路が延びている。下流域は水深が浅く,砂州があるため航行が困難な場所が多い。カルパート山麓の支流域でとれた材木を集め,筏で下流に運ぶのに広く利用されている。漁業は海岸付近を除いてあまり重要ではない。下流域とドゥベサリ貯水池にはチョウザメ,パイクパーチ,コイなどの孵化場がある。

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