ドロワムシ(読み)どろわむし

改訂新版 世界大百科事典 「ドロワムシ」の意味・わかりやすい解説

ドロワムシ (泥輪虫)
Synchaeta stylata

ドロワムシ科の輪形動物湖沼や池のプランクトンとしてふつうに見られるが,汽水域にも出現する。夏に多い。体長0.2~0.3mmの倒円錐形で,中央部がやや広くなって後方になるに従って細くなる。頭盤の中央が膨らみ,左右両端に1対の剛毛があり,その中間に1対の暗赤色の眼点がある。剛毛の下方には耳のような突出部があり,その部分に生ずる繊毛は下方へたれ下がっている。側方触毛は体の後方の1/3のところにある。体と足との区別ははっきりせず,しだいに細くなって末端は小さい2本の趾になっている。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ドロワムシ」の意味・わかりやすい解説

ドロワムシ
どろわむし / 泥輪虫

袋形(たいけい)動物門輪毛虫綱セナカワムシ目ヒゲワムシ科の1属Synchaeta古称、および同属の1種。体は透明な逆円錐(えんすい)形で、頭部には著しく発達した感覚器を備える。沿岸水域の代表的プランクトンであり、混合海水や海水中にも生息するので、将来、魚貝類の種苗生産用の餌料(じりょう)として有望。頭部にある剛毛や突起の形状、体側感覚毛の位置、そしゃく器の構造、脚指(きゃくし)の形態により40種に分類されている。

 和名ドロワムシS. stylataでは頭部の剛毛がひげ状に長く、体は後端に向かって緩やかに細まる。体長350マイクロメートル未満。夏季に貧栄養湖または0段階の水域に出現する。

[鈴木 實]

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