ドークマイ・ソット(読み)どーくまいそっと(英語表記)Dokmai Sot

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ドークマイ・ソット」の意味・わかりやすい解説

ドークマイ・ソット
どーくまいそっと
Dokmai Sot
(1905―1963)

タイ女性作家。王族の生まれで、バンコクのセント・ヨセフ修道女学院でフランス語を学び、西欧文学の影響を受ける。上流社会舞台に、西欧の教養を身につけたタイ女性とタイ伝統社会の価値観との対立葛藤(かっとう)を主題とするところに新しさがあるが、作中のヒロインは結局伝統的社会に安住の地をみいだす。代表作は『彼女の敵』(1929)、『最初の過ち』(1930)、『貴族』(1937)など。タイ現代女性文学者の先駆的存在だが、家庭小説という狭い領域を抜け出ていないうらみがしばしば指摘される。

[岩城雄次郎]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ドークマイ・ソット」の意味・わかりやすい解説

ドークマイ・ソット
Dokmai Sot

[生]1905.2.17.
[没]1963.1.7.
タイの女流作家。王族の出身で,もっぱら上流社会の家庭生活に題材をとり,そこにおける女性の地位理想像を描いている。代表作は,『三人の男』 Sam Chai (1933) ,『百中の一』 Nüng Nai Rôi (34) ,『上流社会』 Phu Di (37) ,『これが世間だ』 Ni Lae Lok (40) など。

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