ドトゥー(英語表記)Jacques-Auguste de Thou

改訂新版 世界大百科事典 「ドトゥー」の意味・わかりやすい解説

ド・トゥー
Jacques-Auguste de Thou
生没年:1553-1617

フランスの歴史家。ド・トゥー家はオルレアン地方の旧家で,父のクリストフChristophe de T.(1508-82)はパリ高等法院院長を務め,パリ地方慣習法の編纂に多大の貢献をしたことで知られている。伯父のニコラNicolas de T.(1528-98)はシャルトル司教として王党派にくみし,1594年アンリ4世のシャルトル大聖堂における聖別式をとりはからった。クリストフの三男がジャック・オーギュストである。パリ高等法院評定官,請願審理官,国務評定官を務め,アンリ4世の側近として〈ナントの王令〉の起草に携わるなど重要な役割を果たし,同時に,宗教戦争期のフランスについて,大著《同時代史Historiarum sui temporis》(1604-20。フランス語訳《Histoire universelle,depuis 1543 jusqu'en 1607》1734)を著した。その広い視野と一方に片寄らぬ公正な叙述により,この時代の最もすぐれた史書の一つとされている。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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