ナガメ(英語表記)Eurydema rugosa; cabbage bug

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ナガメ」の意味・わかりやすい解説

ナガメ
Eurydema rugosa; cabbage bug

半翅目異翅亜目カメムシ科。体長 6.5~9.5mm。長楕円形で,背面は前後が狭くなる。色彩光沢のある黒色で,背面各部が朱色に縁どられている。朱色の部分は頭部の前縁,前胸背の周囲と正中線,小楯板 (しょうじゅんばん) のY字紋,前翅の基部外縁と先端近くの1紋など。触角,肢とも黒いが,脛節の中央部が黄白色のことが多い。アブラナ科の植物に普通にみられ,特にダイコンの果実によく集る。このため「菜亀」の名がある。ほかにフウチョウソウ科などにもつく。日本全土のほか中国に分布する。近縁種にヒメナガメ E. pulchrumがあるが,前胸背の黒紋が6個あることで区別される。ヒメナガメはアブラナ科にもみられるが,セリ科にも多い。 (→カメムシ )

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ナガメ」の意味・わかりやすい解説

ナガメ
ながめ / 菜亀虫
菜椿象
cabbage bug
[学] Eurydema rugosa

昆虫綱半翅(はんし)目異翅亜目カメムシ科Pentatomidaeの昆虫。体長8~9ミリメートル。体はやや光沢のある藍(あい)色を帯びた黒色で、頭部前縁、前胸背の正中線上および周縁部、小楯板(しょうじゅんばん)上のY字紋、前翅の基部外縁と革質部先端近くの1紋は橙(だいだい)色ないし橙赤(とうせき)色。日本全土に普通で、アブラナ、ダイコンなどアブラナ科植物にすむ。近縁種のヒメナガメE. pulchraは、前胸背に6個の黒紋が横列し、前翅外縁部が橙色であり区別される。本州以南、東南アジアにかけて広く分布する。

[林 正美]


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百科事典マイペディア 「ナガメ」の意味・わかりやすい解説

ナガメ

半翅(はんし)目カメムシ科の昆虫。体長8mm内外,黒色でだいだい〜赤色の条紋がある。日本全土に分布。年2回発生し,成虫越冬幼虫・成虫ともにダイコン,ハクサイその他のアブラナ科の野菜の葉や茎の汁を吸って加害する。

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世界大百科事典(旧版)内のナガメの言及

【カメムシ(亀虫∥椿象)】より

… 山間部などで越冬時多くのカメムシ類が室内に侵入し,その臭気のため不快昆虫としてきらわれる。アオクサカメムシ,ナガメは野菜類の害虫として知られ,クロカメムシ,イネカメムシ,ミナミアオカメムシは稲の害虫として,また果樹類にはクサギカメムシ,チャバネアオカメムシなどがつき果実を害する。一般に草本の実を好む種類は,その好む熟度の実を求めて点々と植物を移動し,稲穂が乳熟期となると,稲穂に移ってきて斑点米の原因となる。…

※「ナガメ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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