ナシ(梨)(読み)ナシ(英語表記)Pyrus spp.; pear

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ナシ(梨)」の意味・わかりやすい解説

ナシ(梨)
ナシ
Pyrus spp.; pear

バラ科ナシ属の総称。普通食用にされる十数種の果樹をさすが,日本で栽培されるのは通常ヤマナシ P. pyrifoliaから改良された品種群である。野生のヤマナシは西日本の山地にある落葉高木で,長さ7~10cmの狭卵形の葉を互生する。若い葉や枝に軟毛が密生している。春に,3~5cmの柄のある白花を束状につけ,径2~3cmの褐色球形の果実をつける。このヤマナシをもとに改良されたと考えられるナシ類 P. pyrifolia var. cultaは葉が大型で幅広く,果実は径 10cm以上にもなる。長十郎,二十世紀などをはじめ多くの品種を生じた。この類のほかに日本の中部地方以北に野生するアオナシ P. ussuriensis var. hondoensisをもととした品種群も古くは栽培されたが現在はほとんどみられない。このほかセイヨウナシ (西洋梨),ホクシヤマナシ P. ussuriensisなどをもととする品種群 (シナナシ〈支那梨〉という) もある。

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百科事典マイペディア 「ナシ(梨)」の意味・わかりやすい解説

ナシ(梨)【ナシ】

バラ科ナシ属の落葉高木の総称。ニホンナシは,日本〜中国南部に原生する野生種を古くから改良してつくられたもの。葉は大きく卵形,花は白色で5〜10個が散房状につく。果実は球形で成熟果の色は緑,赤褐,黄褐色など。果肉には石細胞が多く独自の舌ざわりがある。ふつう棚仕立で栽培され,5〜6月に果実を間引き,夏〜秋に収穫。主要品種は二十世紀,長十郎,幸水,菊水など。セイヨウナシはヨーロッパ中南部〜小アジアの原産で果実は倒円錐形。ニホンナシに比べ石細胞は小さく,追熟させて食べる。ラ・フランス,バートレットなど。シナナシチュウゴクナシ)は中国北部の原産で果実は紡錘形に近い球形。ヤーリー,ライヤンツーリー,ホンリーなど。セイヨウナシ,シナナシとも明治になって日本に導入された。

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