ナショナル・インタレスト(英語表記)national interest

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

ナショナル・インタレスト
national interest

国益ともいい,最も広義には対外関係において獲得,維持されるべき国家の利益を意味する。この概念は,封建時代には国家理性 (→レゾン・デタ ) の名で呼ばれる国策指針であったが,民族国家の登場につれて,国民の一般意思などとともに国家の政治行動の基盤と考えられるようになった。特にアメリカの国際政治学者 H.モーゲンソーは,国際政治をパワー・ポリティックスとみなす現実主義的観点から,すべての外交政策決定の基準およびその分析の道具としてのナショナル・インタレスト概念を確立した。彼によればナショナル・インタレストは領土的,政治的,文化的統一体としての国家生存の維持 (すなわち安全保障) という最小限の要請と,政治状況や文化的伝統に依存する可変的要素とから成り,その追求は必要で合理的で道義にかなうとされる。国際政治の多極化過程で示された大国主義台頭という現象は,ナショナル・インタレストの意義に再び焦点をあてる傾向を示している。

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百科事典マイペディア の解説

ナショナル・インタレスト

国民的利益,国家的利益と訳す。国民と国家全体に共通な利益を意味し,諸政策(特に外交政策)の決定基盤,妥当性有効性の基準となる。しかし,具体的になにがナショナル・インタレストであるかを決めるのは,常に支配権力である点に問題がある。ナショナル・インタレストのみが国際秩序を形成する基盤と考える立場を,一般に国際政治におけるリアリズムという。

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日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ナショナル・インタレスト
なしょなるいんたれすと

国益

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