ナンテンハギ(読み)なんてんはぎ

改訂新版 世界大百科事典 「ナンテンハギ」の意味・わかりやすい解説

ナンテンハギ (南天萩)
two-leaved vetch
Vicia unijuga A.Br.

ソラマメ近縁野生マメ科多年草和名ナンテンに似た小葉の形に基づく。低山地や丘陵地の日当りのよい草原や林のへりに,普通に生育している。茎は直立して,高さ50~100cm,地下に木質の太い根茎があり,数本の茎がでる。葉は互生し,2枚の小葉がある。小葉はナンテンの小葉と似ており,卵形から狭卵形,長さ4~7cm,幅1.5~4cmあり,先は鋭くとがる。花は青紫色の蝶形花,長さ12~18mm,十数花が穂に集まり,6~10月に咲く。豆果は狭楕円形,長さ2.5~3cm,幅約6mm,無毛で熟すと茶褐色となり,3~7種子を入れる。種子は球形で径約3mm,黒褐色。北海道から九州にかけて,さらに,朝鮮,中国,サハリン,シベリア東部に分布し,若芽山菜として食用とする。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ナンテンハギ」の意味・わかりやすい解説

ナンテンハギ
なんてんはぎ
[学] Vicia unijuga A.Braun

マメ科(APG分類:マメ科)の多年草。別名タニワタシ。葉は1対の小葉からなる。小葉は卵形または披針(ひしん)形。6~10月、葉腋(ようえき)に有柄の総状花序を出し、青紫色の蝶形花(ちょうけいか)を10個以上つける。小花柄の基部に披針形の小さな包葉があるが、開花前に脱落する。豆果(とうか)は狭楕円(きょうだえん)形で長さ約3センチメートル。種子は球形で、3~7個ある。日本各地の山野に生え、朝鮮半島、中国、樺太(からふと)(サハリン)、シベリア東部に分布する。よく似たミヤマタニワタシは関東・中部地方の山地の林下に生える。茎は節ごとにジグザグに曲がり、包葉は卵形で大きく、宿存する。

[立石庸一 2019年10月18日]


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百科事典マイペディア 「ナンテンハギ」の意味・わかりやすい解説

ナンテンハギ

フタバハギ,タニワタシとも。マメ科の多年草で,北海道〜九州,東アジアに分布し,山野にはえる。葉は短い柄があり,1対の卵形まれに広線形の小葉からなる複葉となる。夏〜秋,葉腋から出た花柄に,長さ1.2cm内外の青紫色の蝶(ちょう)形花を総状につける。名はナンテンの葉に似た小葉の形に基づく。

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