日本大百科全書(ニッポニカ) 「ニケフォロス(1世)」の意味・わかりやすい解説
ニケフォロス(1世)
にけふぉろす
Nikephoros Ⅰ
(?―811)
ビザンティン皇帝(在位802~811)。宮廷革命により退位した女帝イレーネにかわり、財務長官から即位。疲弊した財政立て直しのため、税金台帳の整備、納税連帯制の復活と強化、教会や修道院の所領の一部の国有化、高利子による富裕商人への強制貸付け、「カプニコン」とよばれる人頭税の徴収、テマ(軍管区)兵士の装備の連帯負担など多くの経済改革を断行した。またマケドニア、テッサロニキ、ドゥラキオンなどにテマを新設し、国防を固めた。ブルガリアのクルム王のセルディカ占領(809)に対し、討伐軍を指揮し、緒戦には勝ったが深追いし逆襲されて敗れ、自らもプリスカ近郊で戦死した。
[和田 廣]